絶対話せる!英会話

健康保険改革。

この記事は4分で読めます

Obama大統領が国民全員保険に関しての取り組みを発表したとのこと。個人的には大賛成である。しかしその反面、この時期にこういう発表をして大丈夫なのだろうか、とも思った。なぜかと言うと、国民皆保険は実現が本当に難しいので、これが大統領の立場を危うくすることにならないのだろうか、と思ったからだ。私は行く行くは政府による保険を広げていってほしいと願っているので、計画が反対に合って消えてしまうことを恐れている。ヒラリークリントンの国民皆保険案だって、猛反対に合い、結局消されてしまった。

Public Healthの授業で、Health Servicesという授業を取った。それはアメリカの医療システムの複雑さを学ぶ授業だった。保険の種類(Public or Private)にはどういうものがあるか、どのように人は健康保険をもつか、保険の適用はどこまでか、どの保険でどのタイプの医者にかかれるか、などなどを学んだ。日本のように統一された保険証があって、自分で行く医者を自由に選べるというシステムはアメリカには存在しない。診察代も30%という日本のような決まりはなく、それぞれの保険会社(Private health insurance)のその人のプランによって医療費がカバーされたり、されなかったりする。自分の保険でカバーされると思っていたものがされていない場合は、後日請求書が送られてきて、その請求書の額は全額自己負担となる。その代わり、いい保険(保険料が高い)に加入していると、全くお金を払わなくても構わない場合もある。

一方国(州)の保険は、貧乏人と老人と特定の疾患を対象としたものとなっている。貧乏人対象のMedicaidは、各州ごとに名前が違い、そして州が運営している。アメリカは全員保険はないが、所得が少ないと、この公の保険の対象者となることができる。そしてそのほかに特定の疾患を対象とした公のプログラムも存在する。私がかつてお世話になったこともあるMedicaidは、これらの女性向けプログラムの1つだった。

私はこれらの公のプログラムは、保険に加入できない人を救ういいプランだとは思うのだが、その反面、問題もあると思っている。問題の1つは、公の保険プログラムは、治療費が全くかからないということ。貧乏人からすると、とてもありがたい話ではあるのだが、それが医療費の高騰にも一役買っている。人はタダだと、必要以上に高い治療を受けたがるものなのである。そして病院、医者側も国が支払いを補償しているため(公の保険なので取り損なうことはない)、自分たちの利益にもなるので、お金のかかる治療を止めようとはしない。特に老人を対象としたMedicare(一部のdisabledも含まれる)では、老人は高額医療を受けたがる。そして老人はもちろん若い人よりも病院にかかる率が高い。

その他の問題としては、この公の保険に加入できるのは本当にかなり収入が少ない人たちだけだということ。そのため、働いていても保険に加入できない人たち(会社が保険を提供しない)、あるいはunderinsuredな人たち(保険に加入していても、必要とされる十分な保険適用がない)は、Private保険からも、Public保険からも、事実上放っておかれることになる。

更に困るのが、大きな病気をした人たちだ。その病気を理由にPrivateな保険に加入できない場合がある。病気があるから、その負担を減らすために保険に入りたいのに、それが却下される。そういう話がPrivate health insuranceでは起こり得る。しかし、これらの人たちを助けてくれる公の保険もない。そして高額医療費がかかる人を雇用していると、会社側の負担は大きくなる。(会社が保険会社に支払うお金が増える。)すると、高額医療費の負担を避けるために、その従業員が解雇されるということも有り得る。(もちろん実際にはそういう理由で解雇はできないことにはなっている。)無保険な人、Underinsuredな人たちは個人でPrivate health insuranceに加入せざるを得ないが、それがまたとても高い。なのでアメリカでは公の保険がなくて一番困っているのは、実は働いても働いても貧乏な人たちなのである。アメリカの保険システムには、この層の人たちを救って上げる仕組みがないのだ。

なので私は、もう少し公の保険の受け皿を広げるべきだと思っている。しかし前述したように、自己負担がないというのもどうかと思う。自分のお金でないと思うと、人は無駄にお金を使ってしまいがちだ。私は日本のように、多少の自己負担は必要だと思っている。なぜなら、アメリカの医療費の半分は、既に公の予算から支払われている。これ以上公の負担を増やすのは、財政的に難しいと思うのだ。

しかしその一方で、国民皆保険という考えに反対な人もいる。私のような考えは、アメリカでは時にSocialistだと言われてしまうのだ。私の理想はSocial Democracyなので(Capitalismであっても、welfareは保証するという考え)、別にSocialistと言われても、私個人は構わないのだが、Socialismに嫌悪感を示すアメリカ人は実は多い。「ここは自由の国であり、もし国民皆保険ができるとしたら、保険に加入する、加入しないの自由が奪われてしまう」と言うのだ。私は、保険に加入する、しないが本人の選択であっていいとは思わない。それに選択する自由がある社会ということに関しては、二つの理由から反対する。まず国民全員が保険に加入できる選択肢を持っていないということ。つまり入りたくても入れない人が存在している限り、選択という言葉はあり得ない。選択肢と言うのは個人の自由な決定である。最初から加入する余裕がない人に、自由裁量はない。

二つ目は、個人の保険に入らないという決定が、将来的に国全体に不利益となる可能性があること。定期的に保険による健康診断を実施すれば、重大な疾患につながる前に防げる病気、そしてそれらにかかる高額医療費を抑えることができるのではないか。(アメリカは高額医療の負担が、諸外国と比べてとても大きい。詳しいデータはまた後日。)もちろん健康診断のコストはかかるが、死に近づいている症状を救う医療費の方が高くつくのではないか、と思う。

アメリカではHealthy 2010というプログラムがある。それはU.S. Department of Health and Human Servicesと協力して作られたものだ。その主な目標は二つあり、1つは、健康な生活の質を上げ、健康に生活できる月日を増やすこと。2つ目のゴールは、健康に関する不平等をなくす、というもの。私は、国民皆保険はこのゴールへ大きく貢献するものになるだろうと思っている。

Health Serviceの教授がアメリカの医療システムについて、よく言っていたことを書いてみる。「アメリカの医療、保険システムは、未だかつて計画されて出来上がったものがない。全て必要に応じて、その時その時でパッチワークで出来上がってきた。そのため、州、保険会社によって統一性もない。それが事務処理を増やし、医療費の高騰にもつながっている。」「恐らく国全体の保険というのはアメリカではまず無理だろう。(先進国で国民皆保険がないのは、アメリカのみ)しかし、州レベルなら、何か取り組みはできるかもしれない。」

恐らくこの分野にかけては、プロフェッショナルである教授でさえも、無理なのではないか、と考えている国民皆保険。なぜならアメリカでは、既にPrivate health insuranceが蔓延ってしまっている。その分野で働いている人、その業界の反対は必至だろう。議員に対してのロビー活動が、今後徹底的に行われるのは想像がつく。こういう社会環境の中で、どうやってObama大統領が、国民皆保険を実行可能なものにしていこうとしているのか、今後も健康保険関連の動きには注目していきたいと思う。

あわせて読みたい

  1. Lake Silverwood。

    2009年4月20日14:46

  2. 日焼け。

    2011年4月19日13:04

英会話のスマホアプリ、作りました。

「絶対話せる!英会話」無料アプリ ★アメリカ生活の中で、実際に使われている英語表現をお届けしている無料スマホアプリです。11回目以降の音声は、このウェブサイトにて無料で聞くことができます。 こちらからどうぞ。

YouTube – 英語・発音・アメリカ生活

これをしないとあなたは英語が話せない

応援、ありがとうございます。

RETURN TOP
error: Content is protected !!