絶対話せる!英会話

実はアメリカも。

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先週末Rosarito とTijuanaへ行った。Rosaritoで用事を済ませ、一緒に行った人の従兄弟の従姉妹の家へ泊まらせてもらった。(←メキシコ人ファミリーの結束は固い。)家と言ってもそこは単なる2BDのアパートである。持ち主の彼女のベッドに寝かせてもらった。

彼女は政府系の仕事についている。しかし、こういう仕事があることに驚いた私。彼女が勤めているのは、盗品や密輸品を売る組織なのだ。何でも政府が没収した盗品や密輸品を、転売しているらしい。もちろんれっきとした政府のお仕事。へぇー、盗品とか売っちゃうわけ?元の持ち主に返さないの?と当たり前の疑問が浮かぶ。しかしそれはほとんど不可能に近いとのこと。ま、そう言われてみればそうか。そうすると日本ではどうやっているんだろう?前に厚生省の人に没収した麻薬は、焼却処分になると聞いたことがあったが、一般の物はどうしているのだろう。

こういう政府系の仕事についている彼女の生活はとても安定しているようで、いい感じのご近所に囲まれた地域に住んでいる。彼女は希望を出して、Mexico CityからTijuanaへ職場を変えてもらったとのこと。Mexico Cityと比べてTijuanaはのんびりしているので、彼女はTijuanaでの生活が気に入っているらしい。

確かに場所を選んで外出すれば、Tijuanaでの生活水準は決して低くない。私も何回かバーに行ったが、とてもお洒落なお店ばかりである。値段もアメリカ国内とは全く変わらない。そういう場所で、20-40代の人が着飾って飲んでいる。そういうお店はバブル時代の六本木辺りのような雰囲気を醸し出している。

そんな素敵なTijuanaでの生活もある一方、国境の壁の周りはスラム街のように汚い町並みになっている。何度も町の政府が変えようと試みたらしいが、結局は中南米からやってきて国境の周りでうろうろする人たちを完全に排除することはできず、今までの試みは全て失敗しているようだ。国境沿いの道(国境に平行している)を車で走らないと、Rosaritoに行くことができないため、そこのボーダー付近の家をいつも眺めることになるのだが、本当に汚い。ふと眺めると、そこら辺で誰かが用を済ませていたり。衛生レベルもかなり悪そうだ。そういうところに家族で住んでいる人たちもいる。

昔はここまでひどくなかったそうだ。国境がとても汚くなってしまった理由の一つは、アメリカ政府が、不法移民をメキシコとの国境までしか送り届けないため。その人たちが実はグアテマラから来ようが、エクアドルから来ようが、エルサルバドルから来ようが、アメリカ政府はメキシコの国境まで追い出すだけだ。メキシコにとっては、いいとばっちりとも言える。しかしその一方、他の中南米との南の国境でのメキシコ政府の対応は遅れていて、簡単に入り込めるようになっているらしい。汚職も蔓延しているし、ジャングルなどでは取り締まりは不可能とのこと。こういうことがあって、メキシコ側のアメリカとの国境はメキシコにとっても不法移民だらけになっている。

しかし実際、メキシコからアメリカへ自由に行き来できる人はたくさんいる。が、そういう人たちは別にアメリカに住みたいとは考えない。メキシコ国内で十分適度にいい生活水準を保っているため、アメリカに特に行く理由はないわけだ。現に私たちを泊めてくれた彼女もアメリカには今まで全く興味を持ったことがなかったそうだ。(最近私たちと知り合いになったので、今度遊びに行こうかなー、とは言っているものの。)

前に書いたかもしれないが、うちの大家さんの娘さんが、とあるメキシコのビール会社のお偉いさんの娘を、彼女がメキシコから遊びに来たときに買い物に連れて行った。一日で平気で20,000ドルを買い物に使ってしまったので、大家さんの娘さんは大いに驚いた、と言っていた。そして大家さんの娘さんにも何か買ってあげるわよ、と言っていたらしい。そして数ヶ月前にも大家さんの家にメキシコから遠い親戚が遊びに来て滞在していった。またまた彼女も超リッチな人。(かと言って大家さんの家が金持ちの家だったわけではなく、彼らは中流階級出身。)おまけにすごい美人(シャロンストーン似)で、若い頃は大統領の甥っ子と付き合っていたらしい。(←こういうことができる人もメキシコでは限られる。)こういう人たちは、国境を簡単に越えられるし、アメリカでお金を落として行ってくれる彼らはアメリカにとっては貴重なお客様だろう。

実際にアメリカに行きたいと考える人たちは、メキシコ国内(あるいは他の国内)で十分に生活がやっていけない、または少しは生活がよくなるのではないか、と期待している人たち。そういう人たちが命をかけて国境を越える。メキシコへ行く度に、いつもこういうまるで別世界に住んでいる同じ人たちが、同じ空間と場所に存在していることにいつも違和感を覚える。

しかし昨日、実は気がついたことがあった。きのう ”貧困大国アメリカ” を中古本屋で手に入れて読んで思った。「あれ、そう言えばアメリカも同じじゃない。」ここでも明らかに世界の違う人たちが、同じ空間に住んでいる。私は極たまにだがLAダウンタウンのFashion Districtに買い物に行く。ここは浮浪者がうろうろしている辺り。夕方以降は近づかないほうがいい。しかしここはLittle Tokyoから歩いてもすぐのところにある。実は私も貧困層と隣りあわせで暮らしている、ということをすっかり忘れていた。LAにはあちこちに危ない地域がある。そういうところには私は普段は近づかないために、忘れていたのかもしれない。

実はメキシコとアメリカの社会構造はとても似ていると思う。アメリカのほうが中流階級が多く、全体的な生活水準は高いけれど、貧富の差がはっきりしているということは共通している。高級住宅地と貧困層の住む地域の差は激しく、どうしてこれらが同じ国内に存在しているのだろう、と不思議でたまらない。しかしアメリカ国内で生活していて、特に今まで違和感を持ったことがなかったのは、なぜなのだろう。メキシコはまだまだ発展途上の国、アメリカは先進国と勝手に思い込んでいたから、アメリカの貧困層にさほど関心が向いていなかったのかもしれない。あるいは私が既にアメリカ社会に慣れすぎて、そういうものとして受け入れてしまったため、もう違和感も感じなくなってしまったということかもしれない。しかしあらためて見直してみると、実はよく似た社会であったということが見えてくる。

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