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フェミサイド。

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今日の歴史の授業はメキシコ。「ボーダータウン」というジェニファーロペス主演の映画を見た。一昨日この実際に今でも起きている女性をターゲットにしたレイプ、殺人のドキュメンタリー映画を見た後だったので、今日の映画は作り物だとしても、やけに生々しく感じた。

いろいろネットで調べてみると、1993年以来、殺されてしまった女性の数は400人と言われている。これはちょっと考えられない数だ。どうして400人もの女性がレイプされて、殺されなければならないのか。しかも一つの町だけである。その問題のアメリカとメキシコ国境の町はJuarezと言う。

教授の話によると、元々アメリカとメキシコの国境の町はどこも治安が悪い。アメリカへ入り込みたい人が中南米から集まってくる。つまりいつもよそ者だらけ。そしてドラッグの取引ももちろん国境を通るわけだ。そのため、国境のほとんどの町は犯罪が異常に多い。(しかも凶悪犯罪。以前メキシコ人の友人達に北部へは絶対に行かない方がいいと言われたことがある。)そして元々治安が悪かった地域に、更に人を新たに集めるできごとが起こった。それがNAFTAである。(北米自由貿易協定)http://ja.wikipedia.org/wiki/NAFTA 

北米自由貿易協定の結果、国境を自由に越えて、安いメキシコ人の労働力を求めてアメリカから多くの企業が進出した。そして工場で働く半分以上は女性たちだ。しかもそこで働く女性たちは国中から集まってくる。元々田舎でも仕事がない彼女達は(メキシコの南部はマヤの名残が強く(Oaxacaなど)メキシコの町の人からも差別を受けていることが多い。)仕事を求めて国境の町へやって来る。貧しくて、他の町から移住してきた女性たちは、この強姦殺人グループの格好のターゲットとなってしまうらしい。

工場主(アメリカ人オーナー)や市、警察、そして中央政府までもが、この殺人に対して本格的に捜査に乗り出さない。なぜなら工場主は利益を守りたいし、従業員の安全なんて保証しない。市や警察は、上からの命令で見ても知らん振り。それどころか警察官も事件に関わっている。先日の映画(実話)では警察官が女性を襲うように、バスの運転手にお金を渡していたと言っていた。市や政府はNAFTAで恩恵を受けているので、不都合なことはもみ消したい。なのでいくら女性が襲われようが、殺されようが、家族たちの訴えを退ける。なので残された家族は、自分達で砂漠の中を死体がないか探しにいくのだ。http://jp.youtube.com/watch?v=S21szFgtwtU&feature=related

Amnestyのページに分かりやすく書かれている。
http://www.amnestyusa.org/Artists_for_Amnesty/Bordertown/page.do?id=1101531&n1=2&n2=22&n3=795
この無差別な女性への殺人をfemicideと言う。You Tubeで映像を見つけたので、ここで紹介させてもらう。http://jp.youtube.com/watch?v=pKBQHPYdLq8&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=_MU545aP3l0&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=k0mKUXxYerE&feature=related

フリートレードがもたらしたのは、移民の増大。そしてmaquiladoraと呼ばれる女工たち。なぜ移民が増えたかと言うと、それは多くの農家や小さなショップのオーナーがNAFTAにより、職業を失ったからである。アメリカ、カナダとのフリートレードにより、自国で生産するよりも安い値段のコーンなどが入ってくるようになってしまった。元来中南米での主食であったコーンは今はもうメキシコではアメリカからの輸入に頼っている。そして元々農家は貧しかった。小さなショップのオーナーも同じこと。ウォルマートと価格競争ができるわけがない。そして男達は家を出てアメリカを目指す。不法移民だろうが何だろうが彼らは生きていかないとならないし、家族を養わないとならない。

残された何もできない女性たち。中南米は未だに父権社会が根強い。大黒柱を失った彼女達もまた仕事を求めて、仕事がある町へ移住することになる。そしてアメリカの企業で働く女工(マキラドーラ)となる。しかしここでの身の安全は保証されていない。もし5分でも遅刻したら、工場の中へ入れてもらえない。そうしている内に行方不明になってしまう女性もいる。工場で時間通りに働くことができなければ身の危険にもつながってしまうのだ。彼女達は自分の足を持っていないので、通勤は全て会社や地元のバスに頼るしかない。そしてこういう女性達が住んでいるのはシャンティタウン(貧民街)。こういう場所から仕事へ行く途中または工場からの帰り道で、次々に彼女達は誘拐され、レイプされ、そのままどこかへ埋められる。この数がこの15年間で、1つの市で400人を越えるなんて、本当に何が起こっているのか。

人としての良心のかけらも残っていないこれらの犯罪を警察はもみ消そうとするし、政府も助けてくれない。(一昨日見た実話映画では、女性は警察官に襲われて脅されていた。)弱い立場の人間はとことん搾取され、虫ケラのように殺されてしまう。これが今こうしている間も続いているというのが信じられない。

国内に助けを見出せない場合は、どうしても海外から注目を集めないとならない。海外の人権保護団体や、外国政府、国際機関からの圧力がないと、その国や町は動かないのだ。以前ここでも書いた、誘拐された子供を持つチリのお母さん達が、自分達が作ったキルトを海外へ持ち出し、国内で起きている軍事独裁政権による殺人を世界に訴えた。そして海外で注目を集めたことにより、チリ政府が人を誘拐したり殺したりできなくなった。

このメキシコのケースも同じである。外からの働きかけがないと、自分達の利益だけを考えるアメリカ企業、メキシコ政府、市、警察(メキシコの警察、市などは多くは賄賂で動くらしい)は動かない。なのでもしこの今日のブログを読まれた方が少しでもまた多くの人へ伝えていただけたら、と思っている。結局、私たち個人個人はとても非力なので、直接何もできない。が、人の注目を集める助けならできる。そしてそれが世界中の多くの人の関心となれば、こういう犯罪も止めることができるのだ。内紛が起きている国ではそういうこともなかなか実現にはつながらないかもしれないが、メキシコは政治的には落ち着いている国である。

身近なところでは、メキシコに工場がある会社としてAveryがある。文房具を作っている会社だ。今グーグルしてみたところ、どうやら日本にもあるらしい。http://www.averymaxell.com/ (ウェブサイトによると、Maxellは合弁会社を解消したらしい。)今日は授業の後、南アフリカから来た彼女と一緒に、学校の売店でこの文房具があると言うので探してみた。マーカーが売られていた。裏を見てみると確かにMade in Mexicoと書かれていた。従業員の身の安全も守らないほど利益追求の結果、こういう安い値段で、ここで売られているらしい。

アメリカで適用されている労働者保護の法律は、アメリカの会社であってもメキシコでは守らなくていい。そして実はここアメリカ国内でも不法移民のそういった労働権利は守られていない。今日はここロサンゼルス(LA)での衣類縫製工場の労働者(別名Sweatshopとも言うべきか)の人権無視、そしてそれと戦ってきたGarment Worker Centerの「Made in LA」という映画を見に行くことにしている。

話を元へ戻すと、とにかく無差別な殺人から女性を守るために私達ができることは一人でも多くの人へ知らすことだけである。貿易自由化により、父親が家族からいなくなり、残った女性たちは生きていくために生まれた町を離れ、そしてやっと仕事を得るのだ。しかしその仕事場での行き帰りで、ただ一瞬の男達の性欲のはけ口のためだけに女性が次々に殺されていく。それを見ても従業員を守ろうとしない国際企業、捜査を開始してくれない警察。誰かが誰かの命をそんなに簡単に奪っていい世の中が存在していいわけがない。女性を助けるために、まずできることから始めたい。

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