さっき30分ほど前に部屋にやっと入れたのである。まだ体が冷えている。Mike & Kathy と教会へ行って帰ってきたところまでは、完璧だった。送ってもらって、ふと鍵を探したら、ないっ!!いつもは自分で車で外出するので、鍵を忘れることなんて絶対にあり得ないのである。しかし、今日は迎えに来てもらって、しかも3人(Mike, Kathy, Meggy(彼らの子供)へのプレゼントを抱え、せわしなく家を出たのだった。しまったー。
私は携帯も持っていなければ、手帳も持っていなかった(つまり皆の電話番号もわからない)。隣人もこのアパートでは知らないし、鍵がないので、車も運転できない。ふと周りを見回したら、車をFixしている人が。とことこと彼の側へ近づいていった。こういうときアメリカ人はすごく助かる。側に行くだけで、あるいは目が合うだけで話しかけてきてくれるのだ。"What’s up?"と聞いてもらえたので、"I locked myself out."と言ったところ、「Wow,クリスマスイブなのに。手伝うよ。」と言ってくれた。彼が自分のドアで鍵がどのようになっているかを調べて、カードで鍵が動くことを発見。「試してみる」と言って自分のドアへ行ったのだが、ドアの前に板があり、鍵にはダイレクトに近づけない構造になっていた。それを彼に伝えたところ、「カードを折り曲げればいいかも。」と言って古いカードや金属の定規なので、いろいろ試してくれたのだが、やはり鍵へは近づけない。
突然、彼が「このドアの前の板をはずせば、鍵に近づけるかも。壊してもいい?」と言った。もう鍵が開くのなら、何でもいいですという心境だったので、お願いした。なぜなら、明日はクリスマス。アパートの事務所は休みなのだ。ドアが開かなければ2日間私は寝るところもない。お願いすれば泊めてもらえる友人もいるとは思うが、いかんせん電話番号も全て家の中なのだ。車の鍵も一緒なので、友人宅へ行くこともできない。ここでは夜歩き回ることなんてできない上、今日はクリスマスイブ。誰も彼もが実家へ帰ってしまう日である。よりによって何で今日やってしまったのか…。
その彼は(隣の隣の部屋)車を自分でも修理するほどの人なので、最初は戸惑っていたが、すぐに着々とドアの前の板のネジをはずしていってくれた。何度も道具を取りに行ったり来たりしてくれたのである。そして私は横で懐中電灯で彼の手元をずっと照らしていた。こういうとき話しかけていいものかどうかわからなかったので(集中の邪魔をしたくないし)あまり話もしないでいた。
彼は黙々とネジをはずして、ドアと壁の隙間を広げていってくれた。しかしそれでも不安だった。それをはずしたところで、本当にカードで鍵が開くかどうか、保障はなかったのだ。途中電話を借りて、唯一覚えていた友達に電話した。しばらくして彼はやってきてくれた。本当に皆さん、すみません…。友達がやってきていろいろ彼に話しかけていたら、彼はにこにこして答えながら作業をしてくれた。何だ、話しかけても良かったのか。余計な気を使っていた。途中で気が付いたのだが、ものすごい美形な隣人だった。最後は3人がかりで、ドアに取り組んだ。私の友人はカードを折り曲げ鍵を動かそうとし、隣人の彼はドアの隙間を広げ、私は光を当てながらドアを押す。は、と思ったら、開いたー!!!
"You saved me. Thank you." と伝えたところ、友人が "You owed him a lot. You have to do something." はい、その通りです。彼がいなければ、そして手伝ってくれなければ、私は2日間家に入ることはできなかったはずである。しかも彼は今日はこれからSan Diegoの実家へ帰るために、車をチェックしていたところだったのだ。1976年のリンカーン。日本ではまず見かけることのないクラシックカーである。車を自分でFixする人だったから、ドアも開けられたし、道具もいろいろ持っていた。しかも見ず知らずの私のために1時間作業してくれたのだ。本当にこういうとき、アメリカ人は親切で、ありがとうございますの一言しか出ない。今度お礼に何か持って行かねば。ドアが開いた後、自己紹介もしていなかったことに気づき、お互いに自己紹介。こんなに大変な作業の後なのに、"Merry Christmas."と言って、笑顔で去って行った。気をつけてSan Diegoへドライブして下さい。
さてドアは開いたが、結果としてドアの前のしきりを壊してしまったので、明日直さねば。友人もこれから空港へ行かねばならなかったらしく、ドアが開いた後、すぐに帰って行った。本当にお二方、ありがとうございました。いつもは車の運転があるため、必ず鍵を手にして家を出るのだが、今日は迎えに来てもらったために、すっかり忘れてしまった。今後は気をつけます。本当に。そして今後は友人の電話番号を持って出かけるようにしよう。いざというとき、誰の電話番号もわからないのでは話にならないということに気が付いた。普段ほとんど電話を利用しない人なので、必要ないと思い、手帳はほとんど持ち歩いていなかったのだ。本当に反省した。助けてもらったお二人方、ありがとうございました。そして“Merry Christmas”。これからよいクリスマスをお迎えください。
鍵を開けようとしている途中、隣人の彼が忘れられないクリスマスイブだね、と言っていた。本当にその通り。開かなかったら、どうしようと考えていた。いつもは家にいるかもしれない友人たちもクリスマスイブなので、皆出払っていたに違いない。外で野宿には今日は寒すぎた。こんなにドアが開いて嬉しかったことはない。
はぁー、今日の出来事はきっとこれから先、クリスマスが来る度に思い出すだろう。また1つ忘れない思い出を作ってしまった。反省せねば。