前に住んでいたところから歩いて5分くらいのところで、こんな事件があったらしい。確かに有色人種の人も多く、それほど治安のいいところではなかったが(かと言ってそれほど悪いわけでもなかったが)、かつての私の散歩コースでこんなことが起こるなんて。
http://latimesblogs.latimes.com/lanow/2010/05/pregnant-woman-shot-and-killed-in-west-los-angeles.html
http://latimesblogs.latimes.com/lanow/2010/05/pregnant-woman-killed-la.html
ここら辺は黒人の人とヒスパニックの人とアラブ系の人が多く住んでいた。ワーキングクラスが多い地域。アジア人は同じアパートの別の部屋に住んでいた日本人くらいしか見かけたことがない。言葉は悪いが白人の人は、見るからにWhite Trash系である。しかしそれほど治安が悪いというわけではなかった。確かに散歩やジョギング中には、黒人のお兄ちゃんたちにヒューヒューと口笛をならされるような地域ではあったものの、私は個人的にはそれほど危険を感じたことはなかったのだ。
ここからVeniceという大きな通りへ近づくに連れて、少し治安が悪くなる。そしてVeniceを越えたら向こう側は危険な香りがプンプンする地域だ。しかしVeniceとは反対側へ歩くと普通の住宅地が並び、今度はユダヤ人ばかりになる。私が住んでいた辺り、そして今回の事件があった辺りは、ちょうどその境目くらいだ。
私はこの後、West Hollywoodへ引越し、ゲイの多い地域で安全な日々を送り、そしてKorea Townへ引越し、毎日パトカーのサイレンとヘリコプターの音を聞くようになった。さらに今度は中国人とヒスパニックが多い地域へ引越し、やっと普通に安全に歩ける環境を手に入れた。日本では当たり前のこの環境は、やはりLA市内では存在しない。昼間は比較的安全だとしても、夜はまた別の町へ豹変するのだ。
安全な地域へ引っ越したいな、とはいつも思っていた。しかしアメリカの場合、それには多少のお金も必要なのだ。貧乏さ故に身の保障が脅かされるのは、アメリカでは当たり前のこと。だからこそ人はそこから抜け出したいと思う力が働くのかもしれない。日本にいたときは、そんなことを考えたこともなかったのだが。
住む地域が異なると、乳児死亡率も、殺人率も、寿命も異なる。そして見事にクラスとお金によって、それぞれに属する人たちの住み分けがされている。この通りまでは治安のまともな地域。そしてそこから先は危ない、と。アメリカって、やはり発展途上国だよな、といつも思ってしまう。