絶対話せる!英会話

重い現実。

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一昨日から何となく気分が沈んでしまった。かと言って、私に何かがあったという話ではない。隣に住んでいる中国人の女の子のことである。彼女の将来を考えると、何とも言えずやりきれない気分になってしまうのだ。

以前、隣には3人の中国人女の子がいると書いたことがあったと思う。下の二人は一軒家に住んでいる両親の娘たちである。そして11歳になったばかりの女の子は、私と同じように離れにお母さんと住んでいる。先週木曜日だったか、彼女が私の部屋を見たかったらしく、私が仕事から帰って来たら、ノックしてきた。以前から、私の着なくなった洋服(でもまだ古くはなっておらず、単にもう着る可能性の低い洋服。中にはいただきもので一度も手を通していない服もある。)をあげようと思って、「いつでもいいからおいで。」と言ってあったのだ。彼女に服をあげようと思ったのは、私のサイズの洋服を次に着れそうなのは、彼女だったからという理由だけである。そして、もしいらなかったら、返してくれてもいいし、(洋服の)リサイクルボックス入れてくれてもいい、と伝えた。 (私たちの家から歩いて30mくらいのところに、リサイクルボックスはある。) 

洋服は結構たくさんあったので、一緒に彼女の家まで運んで行った。とは言っても隣の家の敷地へ入り込むだけなのだが。彼女の部屋は、外見から想像はできてはいたが、あまりにも小さくて、私は家のあまりの狭さと散らかり具合にショックを受けた。そこに彼女はお母さんと、生まれて2ヶ月の赤ん坊と、3人で住んでいるのだ。

赤ん坊の存在を知ったのは、1ヶ月ほど前のことだった。彼女が最近「従姉妹の赤ん坊がやってきたの。かわいいんだよ。」と私に言っていたのだ。しかしひとつしかないベッド、隙間がないほどの狭い部屋。あの部屋に3人暮らしはかなりキツイと思う。しかもこの部屋は、私の部屋の半分以下(3分の1くらいかもしれない)の大きさしかなく、そのため台所も洗面所もないのだ。つまり水道がないということである。母屋(一軒家の大家さんの家)の方の洗面所を使っているのだが、今や赤ん坊がいるのだから、かなり不衛生だと言えるだろう。ちなみにお母さんは、母屋とその離れの間の庭で料理をしている。

さて一昨日は、彼女の住む家の更に隣の家で(私の大家さんの姪っ子の家で)親戚の女の子の誕生日パーティがあった。(ほぼ毎週末遊びに来ている姉と弟の兄弟。)その日の朝、そのお誕生日ガール(9歳)と私が「パーティは何時から?」と外で話をしていたとき、赤ん坊を連れた隣の11歳の彼女が外に出てきた。(ちなみにこのお誕生日ガールと彼女はとても仲がよい。)お誕生日ガールは彼女に、赤ん坊のことを「妹?それとも従姉妹?」と聞いた。3秒ほどの沈黙の後、彼女は「従姉妹よ。」と言った。私はそのときの空白時間で、彼女は実は赤ん坊は彼女の妹であるということを知っているのだな、と思った。

彼女は、私に「お願いがあるんだけれど。」と言った。彼女は「リサイクルセンターへ連れて行ってほしい。」と言う。「車がないからペットボトルとかが沢山あって運べないの。それにうちは貧乏だから、リサイクルすれば、ちょっとはお金ももらえるし。」と言う。「OK. いいよ。」と言って、午後になってから一緒にでかけた。3時からはパーティだったので、1時半頃には出発した。(その前は彼女がお誕生日ガールと一緒に教会へ行っていたので。)

追加情報として書いておくと、アメリカはリサイクルをするとお金がもらえるような仕組みになっている。それでリサイクル率を上げようとしていると思われる。しかし実際はホームレスの人や、比較的貧しい人、もしくはリサイクルをしたい留学生などが、こつこつと集めてリサイクルセンターへ持っていくことが多い。私の場合、こつこつ貯めなくても、毎日お酒を飲んでいるので、すぐに溜まる。しかしホームレスの人たちは、人の家のゴミ箱をあさって集めて回る場合も多い。彼女は散歩しているときなどに拾ったものを集めた、と言っていた。

二人でリサイクルセンターへ行ったのだが、ここら辺はアジア人がやたらと多い地域。私が思うにアジア人はリサイクル率が高い。なので一軒目では、「もういっぱいでこれ以上受け付けられないから。」と断られてしまった。二件目はセンター自体は閉まっていたのだが、自動販売機のような機械はボトルを受け付けていた。しかし機械の場合、ひとつずつ手で入れていかないとならないのだった。私たちが行った場所にマシーンは二つあったが、山のように空き缶、ペットボトルを抱えた人たちが、必死にマシーンに一つずつ入れていた。私たちがやっとトランクに押し込むことができた量を「1」と考えると、彼女たちは「15以上」は軽く持っていた。私たちは30分くらい待っていたのだが、そのうち一つの機械が壊れた。するともう一人の人が私たちの前にその入れられなかった分を動かしてきた。

かわいい11歳の隣人は、一昨日は母の日だったので、花屋へも寄りたがっていた。花屋へ寄って、パーティに間に合うには、もう時間切れ、である。リサイクルは諦めて花屋へ向かった。彼女はそのときにははお金を持ってきていなかったので、「お花を買うことは、ママも知っているので後で返すから花屋に先に寄ってもいい?」と私に聞いた。(彼女はいつもお世話になっている隣の彼女(私の大家さんの姪っ子)にお花をあげたかったのだ。)「全然かまわないよ。」ということで花屋へ向かった。しかし一昨日は母の日。いつもよりも花の値段が高くなっていた。こういう商売、本当に憎らしい。しかし仕方がないので、私たちは花を一輪ずつ上げることにして、プラスチックの袋を数枚もらってきて私の家でラッピングをした。

彼女が花の値段を気にして、いくら私に返せばいいのかを聞いてきたが、私は「今日は母の日で特別だから(母の日は結構アメリカでは大事な日)、そしてXXX(彼女)のお母さんが自分で自分のためのお花のお金を払うとしたらちょっとおかしな話だから、今日は私のおごりにしておくよ。」と言った。納得したのかしなかったのかは分からないが、「分かった。」と彼女は言った。

その後私たちは少し遅れてパーティに到着し(とは言っても、隣の隣の家へ移動するだけだが)、その後は子供たちは子供たちでレンタルしたBounce Houseで遊んでいた。(Bounce Houseというのは、こういうもの。http://jumporama.net/Inflatablesforcompanyevents.html)

パーティが終わってそれぞれが家へ帰った後、私は空き缶をずっとトランクに入れて置けないので、どうしたらいいか、彼女に聞きに行った。そのとき、ちょうどたまたま隣の家の中国人一家のお父さんが外で作業をしていて、私も何となく敷地内に入りづらかったのだが、仕方がなかった。彼女は、「私のところで預かってくれないか?」と聞いた。しかも大家さんのお父さんには聞こえないような、かなりの小声で。察するに、彼女は相当大家さん一家に気を使っているようだった。私もできることなら預かってあげたいが、私も部屋を借りている身。2週間も空き缶の山を大家さん宅の敷地内には置いて置くのは気が引ける。しかしその場では、「いいよ。」と言って帰ってきた。

リサイクルセンターは4時半までしか平日は開いていないので、私は週末しか手伝えない。しかし私は週末出かけるため、そして空き缶は洗っていないとかなり匂うため、トランクにも入れて置けない。しかし2週間もアパートの前に置きっ放しにもできない。困った私は大家さんの孫に(正確に言うと孫ではないのだが)相談した。すると彼は、自分の町へ持って行ってくれて、リサイクルしてくれると言う。しかし、リサイクルしたときの金券は、そのリサイクルセンターがあるスーパーでしか使えない。だから、その金券を見せてそれと引き換えに彼女に現金をあげようということになった。この話は昨日一緒に出かけたときに彼女に伝えた。「分かった。」と言っていた。

あの狭い部屋に3人暮らし。しかも生まれたばかりの赤ん坊がいるのに、水道もない。そして大家さんとの関係も、あまりよろしくない。子供たち3人はいつも仲良く遊んでいるが、彼女のママと彼女はかなり気を使って生活をしている。どういう事情で、あの離れに住んでいるのかは知らないが、どう考えても生活環境はかなり悪い。

そして彼女のママは子供を産んだ。出産するとき、彼女は一人で家に残されていたようだ。(私はその頃まだ越してきたばかりだったので、よく事情は知らないが。)しかも産まれた子供は「いとこ」として、二人は説明する。もちろん大人は誰も信じていないが。しかし、そんなことはどうでもいいのだが、問題は彼女のママが赤ん坊を抱えてしまったので、全く働けなくなってしまったということだ。赤ん坊と彼女のStep Fatherと名乗る人は、時々やって来るので、私も挨拶くらいはするが、三人の面倒を見てあげることはできないようだ。

隣の小さな隣人は、「義理のお父さんのことはあまり好きじゃないの。怒鳴るし。」と私に言った。更に「お母さんはね、本当は結婚していないの。義理のお父さんにはアメリカ人の奥さんがいるんだ。」と続けた。自称、義理のお父さん、そして彼女もそう呼んでいる彼は、永住権欲しさの偽装結婚をしたのかもしれないが、どう考えても全面的に隣の三人をサポートしていくことは難しそうだ。しかもお母さんが働けなくなってしまった今、一体どうやって暮らしていけるのだろうか。この二人、どう考えてもUndocumentedな人たちである。

アメリカは学校に通っている間は、ステータスを聞いたりしない。高校までは無条件で、誰でも通うことができる。そして高校を卒業さえしていれば、コミカレには地元の住民扱いで通うこともできる。しかし問題はその先である。アメリカではSocial Security 番号がないと、まず普通には就職ができない。このまま彼女がここでこのような生活をしていって、大人になって初めて自分のステータスに気がついて、どうにも身動きが取れなくなってしまう可能性は大いにある。

知り合いの従姉妹も生まれてすぐのときから30歳近くまでアメリカで育ち、アメリカ以外のことは何も知らない人であるが、ステータスがないために未だにアパートも一人では借りられないのである。不法なステータスのままでいるということは、将来安い労働力として自分を売るだけで、選択の余地が極端に狭められた人生を送るということになるのだ。いい人と結婚でもするくらいしか、ステータスを得るいい方法はない。今の立場では奨学金を得ることもできないし、そうなると大学以上へ通うのは難しいだろう。まだ赤ん坊がいなくて、お母さんが必死になってウェイトレスでもすれば、大学くらいは出してあげられたかもしれないが(ウェイトレスはチップが入るので、下手な事務などよりはよほど稼ぐことができる)、働くこともできなくなってしまった今、どういう手段で唯一の這い上がるチャンス、大学へ行くという選択肢を選ぶことができるだろう。そしてこの二人(正確に言うと、赤ん坊も含めて3人)にこの先、どんな人生が待っているのだろう、と考えてしまう。

彼女も自分の境遇をよく分かっている。11歳にもなれば、物事の分別もつく。しかしまだまだ子供でもある。11歳の女の子にしては、この現実は重過ぎると思う。周りの子供たちが、比較的恵まれているだけに、自分の立場との比較だってするだろう。

私は、自分がグリーンカードを手にしたときに、友人に言われた言葉、「XXX(私)は、グリーンカードにdeserveしない。」と言われたことが初めて分かったような気がした。本当に必要な人たちは、もっといるのである。

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