昨日数学の教授が言っていた言葉。「この教科書には別売りでSolution Manualというものもあるが、使うことは勧めない。なぜなら数学は考え抜いて初めてモノになるからだ。」教授は例題の解き方と答えが出ている本のことを言っている。
へぇーっと思った。どちらかと言うと、私は正反対の意見を持つ。解けない問題でずっと考えていたって時間の無駄。誰かに教えてもらうか、解き方を見て納得して何回も見直すことにより解き方をマスターする方が、数学に関しては効率のいい勉強方法だと思っているからだ。
数学の専門家になるなら、悩みぬいて一つの問題の解決方法を独学で身に付けていくことも必要かもしれないが、私たちはいろいろな他のクラスも取っているわけだし、悩んでいて一問も進まないなんて要領が悪いったらありゃしない。
アメリカの数学の教科書は奇数番号の答えしか出ていない。教科書の例題(解き方が説明されている部分)はやけに簡単なクセに、Chapterごとの練習問題になると急に難しくなる。しかも奇数番号の答えが後ろに書かれているだけ。日本の教科書や参考書に慣れている私にしてみれば、「全部の答え書いてよ」「何で解き方が一つも出ていないの?使えないな、この教科書。」という感想を持つ。そのくせに1冊1万円くらいする。生徒をバカにしているのだろうか?と時々思ってしまう。
しかし教授の言葉を聞いて納得。あぁ、そうやって考えているから、後ろに答えや解き方が出ていないんだ、と。どうなんだろう、この考え方。私はアメリカ人が数学ができないのは、この考え方のせいなのではないか、と思い始めた。さっさと教えてもらって、「あ、そうやって解くのか。」「あ、分かったかも。」と勉強していく方が楽しい気がする。それを分からないまま悶々と放っておかないといけないので(解き方が書かれていないので)、皆が数学を嫌いになっていくような気がする。
日本の教科書も全部の答えは出ていないが、解き方説明部分とほぼ似たような問題なのでそれほど苦労した覚えはない。(それでも成績は悪かったが。)アメリカの数学の教科書は本当に不親切だ。わざと少ししか教えないような気さえしてきてしまう。しかし独力で考え抜け!と教授が思っているのなら、こういう教科書に仕上がるのも納得だ。
教授たちも皆口をすっぱくして言う。アメリカ人学生の数学レベルは他の国と比較すると、圧倒的に低いと。なら、どうしてやり方を変えないのだろうか?うーん、不思議だ。