絶対話せる!英会話

いろいろと考えさせられた一日。

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今日は朝から一日いろいろと考えさせられる日だった。今日は水曜日なので私は夕方からしか授業がない日だった。そのため朝からずっと読書。まずペーパー書きのために“コロンビアで強制移動させられてしまった人たち”の本を読んだ。前にも書いたかもしれないが、ゲリラ、政府軍、パラミリタリーの間の戦いや都合で、あちこちに移動しなければ暮らしていけない人たちの話だ。

 

話の一つに、半ば強制的に政府に少しのお金で移動させられ、新しい土地で農場を始めた家族のストーリーがあった。しかし道具を買うお金もなかったため、結局はそこを売り払うことになった。そしてまた新しい土地で農家と酪農家となる。ところが今度はマリファナを作ることにした。マリファナの方がお金が儲かるのだ。コロンビアでは政府が補助を出して麻薬以外の農作物を作るような政策もあるのだが、何せ農作物を作ってもそれを運ぶための道路がない。売るマーケットもなければ、運ぶ手段もない。そうなると運搬がラクで、しかも高収入につながる麻薬の栽培へつながってしまうのは、生きていくために仕方がない選択になってしまっている。

 

さてマリファナを作り始めた家族、一番上の兄がそれを売りに行った。売買は成立しお金はもらったのだが、支払った人はそのお金を取り戻したい。なので殺人者グループを雇い、そのお兄さんを殺してしまった。息子を殺されてしまったお父さんは途方に暮れ、もう農業にも精を出さなくなってしまった。そして次々に息子達は家を飛び出していった。

 

本の主人公はバナナ農園で働いていたのだが、契約条件にないことを強いられたので、組合でストライキを起こした。すると雇用主が銃を持った人たちを連れてくる。それでも組合の代表者は筋を通そうとした。そのときにその銃を持った人たちは去っていったのだが、数日後、意見を述べた組合の代表者たちは農園で殺されていた。本の主人公はそこから逃げ出した。

 

元いた町へ帰り、結婚をする。しかし段々と不穏な空気が流れ始め、ティーンエイジャーの女の子達はバーで働くしかなくなってしまう状態。毎週あちこちの溝で死体が転がっている。この話、それほど昔の話でないのが恐ろしい。

 

この本を途中まで読んだ後、今度は授業のリーディングを始めた。今週のテーマは先週から引き続き、市民戦争と天然資源について。豊富な天然資源があると経済の成長が遅くなるという説が、一般的らしい。それに対しての反対意見の記事も読まされた。私たちの教授の今日の授業は、天然資源が豊富な地域は女性の社会進出(基本的人権)が阻まれるということについて。

 

それはどういうことかと言うと、“Dutch Disease”ということに関係がある。まず天然資源が豊富なことが分かると、結果としてその国の農業とその他製造業に大きな打撃を与えることになるらしい。例えば、とある国で石油が見つかったとする。そうすると、その国の為替レートが上がる。為替レートが上がるということは、外国からの輸入品が沢山入ってくるということになる。すると自国で生産するよりも輸入した方が安いということになる。その結果、自国産業が打撃を受けるという筋書きになる。

 

ここでどうしてこの天然資源が女性と関係があるかと言うと、発展途上国の工場の労働者はほとんどの場合、女性である。どの時代もテキスタイルの工場でミシンを動かしているのは、女性だ。工場で働くということは、いつの時代も女性の社会進出のまず第一歩である。外でお金を稼ぐことにより、家の中でも、外の社会でも女性の立場が変わってくるのだ。なおかつ外で働くことにより、結婚も遅くなり、出産率も減る。女性のアイデンティティが生まれてくる。そして家の外へ出た女性が政治的な力を持つ、ということにつながっていくらしい。

 

もしこの国内産業の工場が“Dutch Disease”により、衰えてしまうとしたら、職場を失うのは女性である。オイルなどにより国内にお金が入ってきたときに潤うのは建設現場など男性を必要とする職場が多いらしい。そのためますます男女間の力関係が開いていく。経済的機会を失った女性は、政治的な力を持つ機会も失い、その結果、いつまで経っても男性への経済的依存から抜け出すことが難しくなる。教授曰く、イスラム社会が女性への不平等を強いているというよりは、天然資源の豊富さが女性をその立場から抜け出すことを困難にしているとのこと。ここで教授は、「イスラム国のどこが女性が社会に進出できないなんて言ったのか?インドネシア、バングラディシュ、パキスタン。女性が既に政治のトップを経験しているではないか。それに比べて今私たちの国は?」と笑いを取った。

 

それにしても、天然資源の豊富さと女性の社会進出阻止の関係についてなんて考えたことがなかったな。ちなみに今週のリーディングは教授自身が書かれたもの。

 

話は変わるが、今日は授業へ行ったところ、壁一面に人の顔やプロフィールが書かれたポスターが貼られていた。(講堂なので、かなりの数。)それは先日ここでも書いたが、軍事政権下で行方不明になったSouthern Cone(アルゼンチンやチリなど)の人たちの写真だとのこと。今日は学校で先日授業で見た「Cautiva」という映画の試写会がある。そして明日はこの独裁政権後、どうなったかについてのシンポジウムがある。私も一応参加してみようと思っている。

 

授業の後は、クラスメートの韓国人の女の子に誘われ、Unicefの集まりに参加。何でもミャンマーのサイクロン被害援助のためのfund raisingを来週するらしい。クッキーなどを売り、募金を集めるとのこと。直接国へ送るのではなく、その地域で活動しているNGOへ活動資金を送るらしい。そのクッキー、アイスクリーム販売のためのポスター描きを今日はしていたので、私も友人とポスターを描いてきた。と言っても私が描いたのは、アイスクリームとジュースなどの絵だけ。

 

その後、今度はメキシコでの女性に対する犯罪についての映画の試写会へ行った。タイトルは「Senorita Extraviada」。メキシコのJuarez(フアレス)という国境の町で次々に女の人がいなくなり、死体で見つかるという実話のドキュメンタリー映画である。
http://www.lourdesportillo.com/senoritaextraviada/links.html 理由もなく次々に誘拐されて、レイプされ、殴られ、そして最後には殺され、死体が砂漠に埋められる。しかもこれは今も起こっている話なのだ。最初の殺人は1993年頃から始まったらしい。その数200人以上である。ホームページでは300人と書かれていた。映画は、実際に誘拐されてレイプされた女性、殺された娘を持つ家族、そしてその捜査をしている人たちで構成されている。

 

“The Rebels”と呼ばれるギャング、バスの運転手のグループ、麻薬の密売人、そして警察までもが、若い女性を誘拐し殺しまくっている犯人なのだ。犯人の一部は捕まりつつあるが、一向に若い女性の殺人は止まらない。映画の中で話をしている女性は、警察官にレイプされた経験を持つ。写真を撮られ、もし誰かにしゃべったりしたら、どうなっているのか分かるだろうな、と脅された。それでも彼女は旦那さんに励まされ、社会に訴えることにしたのだった。ここで被害にあっているのは、maquiladoraと呼ばれる女工さんたちが多い。仕事の帰りに疲れてバスに乗って帰宅途中、バスの運転手に誘拐されて殺されてしまうのだ。

 

ここでは警察は当てにならない。政府も調査に乗り出さない。残された家族たちはグループを作り、砂漠での死体探し、正義を求めるデモ行進などを始めた。本当に砂漠の草の下を棒でつついて死体がないかを探すのだ。考えられない事件である。しかも起こり始めたのが、ここ10年数前というのがよく分からない。

 

これはなぜかと言うと、NAFTAの影響が大きいらしい。このフリートレード協定のおかげで、アメリカ企業がメキシコの田舎町へ工場を次々と建てるようになった。安い賃金で働くのは、やはり女性たちである。そしてバスで通勤することになるのだが、このバス通勤ですら危ない。たかが工場で働くだけなのに、命がけになってしまうのだ。今日のイベントの学生主催者の話によると、工場でピルを配るらしい。何でも女性がレイプされてしまうのを知っているから、配るのだそうだ。なら、なぜ従業員の身を守る対策を練らないのか。それは彼女達を恐らく従業員として見ていないからだろうと私は思う。主催者の学生曰く、私達ができる一番いいことは恐らく不買運動です、と言っていた。これは実は私の歴史の教授も言っていた。

 

この映画は、見ていると怒り心頭に発する映画である。何せ逮捕された男たちが全然悪いと思っていないのだ。笑いながら女性を殺すこともあったらしい。そして自分達だけ逮捕されるのは納得ができない、他にも皆やっているのだから、と言うのだ。そしてなぜだか知らないが警察官が女性達を殺すようにバス運転手やギャング団にお金を渡していたらしい。工場に仕事を探しに来たら、殺されてしまった。もう何が何だか分からないほどの無法地帯である。何でこんなことがまかり通っているのか不思議だ。しかもメキシコなんて、普通に都会があり、観光地なども安全な印象だったのだが。

 

それにしてもどうして警察が殺人を依頼したのか、またなぜ工場が殺人を促してしまったのか、話が少し見えないところもあったので、金曜日歴史の授業のときに教授に聞いてみようと思っている。今週と来週はメキシコについての授業である。

 

ということで、重い気分に浸りながらも今日は一日、いろいろと考えさせられた。何で本当にこんなことばかり起こってしまうのだろう。地球には6億人以上の人がいるのに、私たちのようにしっかりと人権が保障されて、安全な環境で、食糧やエネルギーが手に入る人は、20%だけ。残り80%の人は何らかの形で自由が妨げられている。その中でも特に弱い立場にいるのは、いつも女性と子供である。本当に毎日安全に生きていけることに、感謝したい。そして私達が当たり前と考える生活が、当たり前のように送れない人がいるのなら、自分たちが何をすることができるのか、今後もじっくりと考えていきたいと思う。

 

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