今日は、聞いた英語がわからないのは、
リスニング(聞き取り)の問題
だけではない、という話をしたいと思います。
私は「英語を聞いてもわからない」
原因は、二つあると思っています。
それは「リスニング力」と 「理解力」 の問題です。
目次
(1) 一つ目は確かに聞き取りの問題。
その英語の音を認識することができない場合です。
原因の主なものは、以下のとおり。
・一つ一つの英語の音を知らない、
・つながる音が聞き取れない、
・聞こえてくる音(実際の英語の発音)と
自分が想像している音が一致していない。
こういう場合は、発音練習とスクリプト付きのリスニング教材で
耳を鍛えると、英語の音は聞こえてくるようになります。
私も発音練習とディクテーションで、
英語の音が聞き取れるようになりました。
なので、音を聞き取るリスニング力を上げるためには、
まず以下のことが効果的です。
英語の音を聞き取る耳を作るには、まず【発音練習】
英語の音、つまり日本語にない音を、
聞き取るためには、発音練習をします。
自分でその英語の音を発音できるようになると、
英語の音は聞き取れるようになります。
まず正しい音を徹底的に頭に叩き込み、
そしてそれを真似することです。
真似ができるようになると、英語のその正しい音を
聞き取ることができるようになります。
発音練習は、自分の発音矯正のためだけではないのです。
発音練習の一番の効果は、
英語の音を聞き取る脳と耳を作ることです。
私が何をやったのかについては、こちらを参照してください。
英語の音を聞き取る能力を開発してくれる【ディクテーション】
ディクテーションに関しては、
何回かアプリの記事でも書いてきました。
Vol. 13 (7/13/2013) で実際のやり方を、
Vol.252 (3/9/2014) では、その効果について書きました。
ディクテーションをやってみると、
「実際の発音」 と
「自分がスペリングなどから想像していた音の違い」
に気づきます。そしてそれに気づくことにより、
正しい実際の発音がきちんと聞こえてくるようになります。
もちろん発音練習は退屈だし、
ディクテーションに至っては、
聞いても聞いても音がわからなくて、
頭の中がひねられるようです。
でも聞き取れないものは、頑張っても聞き取れないので、
そんなに何十回もやらなくていいです。^^;
でも、絶対にやらないといけない
「リスニング力アップ方法」です。
私も、そうやって少しずつ聞こえる音を増やしていき、
(勝手に想像していた音の矯正をして)
音のつながりや抑揚などの感覚を掴んできました。
そうやっていたら英語の音が、きちんと聞こえてくるようになりました。
発音とディクテーションのおかげで、
「聞いた音」 を自分で同じように
コピーできるようになりました。
英語の音がはっきりと聞こえてくるように
なったときには、感動しました。
ヘレンケラーが「WATER!!」 と叫んだときと、
きっと同じような感覚だったのではないかと。^^
そして「よし!これで英語がわかるようになる。」と思ったものです、その瞬間は。
しかし、
実際はそうではありませんでした…。
今度はですね、音は聞こえても、意味がわからない、
という状態がしばらく続いたのです。
もちろん全然理解できなかったわけではなかったのですが、
わからないことが多かったのです。
たとえば英語の音を聞いたときに、
それが意味を持つ言葉として、
すぐに頭の中に入ってこなかったような感じですね。
冗談みたいな話ですが、聞いてから
理解するまでの時差も、時々体験しました。
3 ~5秒くらいしたら、自然にふっと意味がわかるみたいな。^^
考えなくても、自然に意味はわかるのですが、時差があったのです。
「何、これ?」 という体験でした。
友人に聞いたら、同じような経験をした人が、
何人かいました。
実はこのように、英語がわからないというのは、
リスニング力だけではなく、別の問題もあったのでした。
それは、
(2) たとえ音が聞こえても、頭の中で英語を処理できない
つまり理解する力が足りないということです。
音をたとえ聞き取れても、
その音を頭の中で処理できなかったのです。
つまり英語をわかるようになるためには、
聞き取りの練習だけではダメで、
その英語自体の意味もわからないとダメだったのでした。
当たり前と言えば、当たり前ですね。
そして更に、英語の意味を理解するのに、
私の頭の英語処理能力は遅すぎる、ということも痛感しました。
「理解力不足」 には、複数の要因が絡まっています。
ですので、それらは一つずつ
底上げしなければなりませんでした。
私の場合は、まず英語を長時間聞くための忍耐力
みたいなものがありませんでした。
英語の音に慣れていないから、何となく途中で
あーぁと諦めてしまうような感じです。
それに語彙力も不足していました。
元々意味を知らない言葉を、
音だけは聞き取れたとしても、
意味がわかるわけがありません。
日本語だって、知らない言葉の羅列で
何かを話されたら、意味がわかりませんよね?
さらには、感覚的に使える形で英文法が
身についていなかったのでした。
私は英文法は比較的得意でしたが、
それは単に 「英文法はクイズみたいだなー」 と
謎解きに夢中になっていただけで、
「それがどういうときにどうして使われているのか」
という英文法の根本的な理解をしていなかったのでした。
(この経験があるので、メール講座ではこういうことに力を入れています。)
そこで私がやったのは、
「たくさん簡単な英語を聞くこと」 と、
「語彙力アップ」 と、
「使えるように英文法を見直す」 ということ。
そしてそれを 【音読で強化する】 という方法でした。
結果的には、このときにしたことが、
「英語を理解したいと思う人」 から、
「英語ユーザー」 への脱皮となりました。
ここで、私がしたこと
(=英語ユーザーになりたい人がすべきこと)を簡単にまとめてみます。
【簡単な英語が話されているものをたくさん見る】
アメリカへ来た頃、私はよく子供向け番組を見ていました。
そうして簡単な英語を、TVで見たり聞いたりすることで、
英語の音が意味を持つものとして、
聞き取れるようになりました。
「音だけ聞き取れた」 → 「音のつながり方がわかった」
→ 「音のつながりが意味を持つ言葉」 になった感じです。^^
なぜそうなったかと言うと、多分理由は2つ。
子供向け番組は、
★ 簡単だったので、長い間英語を聞くことに耐えられた。
→ その結果、長時間英語を聞く忍耐力を徐々に養うことができた。
★ 状況や意味の理解が簡単だった。
→ 結果として、音にもっと集中できた。
要は簡単な英語で、映像があったので、
特に意味を意識的に理解しなくても、映像だけでわかった、
そのため音をもっと集中して聞くことができたということです。
人間の能力って、最初は音の聞き取りと意味理解の
両方に注げないようなのですね。
ですので、簡単な英語を聞くことにより、
音にもっと集中できるようになる、その結果、
音の認知能力が上がるということです。
最初は音としてバラバラに聞こえていたものが、
段々と塊で音の流れが掴めるようになり、
それが意味を持つようになったという感じですね。
更には、おまけとして、
身の回りのことを言い表す表現も学ぶこともできました。
「それ取って。」とか、
「これやってくれる?」とか、
「電気をつけたら、何々がおかしくなってしまった。」とか、
幼児向けの番組ですから、本当に簡単なことばかりです。^^
でもですね、身の回りのことを言い表す表現を
手っ取り早く学ぶのに
幼児向け番組ほど優れたものはないと私は思っています。
なぜならそれらは子供がまず知らないといけないこと、
定番表現や、ものごとの依頼の仕方、
断り方、目の前にあることや状況の説明の仕方、
そういうものが短い番組の中に、
本当にギュッと凝縮されて入っているからです。
幼児向けの番組って、子供を楽しませるように作られていますが、
実際は、ああいうプログラムって、教育番組ですよね。
一方で、普通の海外のドラマとかを見ると、
それらは大人向けなので、もちろん面白おかしく、
あるいはドラマチックな作りになっています。
そうなると、身の回りでよく使う
知っておいた方がいい定番表現の出番は少なくなります。
当たり前ですよね?
ドラマですから、話の面白さが命ですからね。
なので、大人向けの普通のドラマは私には難しかったので、
(一応その前に映画の音読はやってはいましたが、
それでも難しかった。)
私はそういう子供向けの番組を、字幕を付けて見ていたんです。
(アメリカは全プログラム字幕がつけられます。)
私がそういうものを見始めたのは、実は見ていたら、
言えないことがたくさんあることに気が付いたからでした。
で、そういうことをずっとしていたら、
身に付いたことがいくつかもありました。
まずは、
(1) 音のつながりに慣れたこと。
つまり音が前よりもよく聞こえるようになったんです。
簡単でゆっくりな英語なので、よく聞こえてきたんですね。
それでもつながる音とかの感覚とかも、
自然にわかるようになったようです。
(2) 定番表現やコロケーションを自然に覚えたこと。
子供が使う言葉も、大人が使う言葉も
日常生活で使う表現はほぼ同じです。
・プレゼントの渡すときの表現、
・写真を撮ってもらうときのお願いの仕方、
・人や物の位置や前後関係を表す表現、
(I’m behind you.とか)
・時間の経過を表す表現、
(~, then, ~.とか。Ater ~, ~.)
簡単なことばかりですが、
知ってはいても、すぐに口から出てこなかったものが、
そういう番組を見ていたら、状況ごとモノにできたので、
自分が言おうとしたときには、言えるようになっていました。
(エピソード記憶による疑似体験ですね。^^)
(3) 前置詞感覚が身に付いたこと。
多くの前置詞や、動詞とのコロケーションも
音を聞いて、字幕を見て、自然に学べました。
ま、そういうわけで、上で述べたように、
★ 長時間英語を聞く忍耐力ができ、
★ 状況や意味の理解が簡単だったので、
意味よりも、音自体に集中することができて、
音への認知能力が上がり、
★ 更には、身の回りのことを説明する英語表現を
自然に身に付けたのでした。
よく多くの人が、ドラマとか映画とか
頑張ってみようとするのですが、
いきなりそれは止めておいた方がいいと思います。
それは、この下にも書いてあるように
英文がある程度読める力がなければ、
英語って聞いてもわかりませんから。
読んでわからないものを、
聞いて理解するなんて、更に無理な話なわけで…。^^;
で、そういうものを頑張って聞き取ろうとすると、
音を聞き取ろうとすること(音への知覚)と
意味を理解しようとすること(文脈による意味理解)を
同時にすることになります。
それは日本にいるほとんどの人にとって、
ちょっと難しいことだと思います。
まずは私のように、簡単なものを沢山聞いて、
音への知覚能力を高めること、
そして音を長い間聞き続ける忍耐力を
養うことから始めた方がいいと思います。
私も日本にいたときに、CNNやBBC、
Discovery Channelを 英語で頑張って見ていましたが、
はっきり言って、あれは全然役に立ちませんでしたねぇ…。
本当に、無駄な時間でした。
それよりも子供向けのTV番組の方が、
私には、はるかに役に立ってくれました。
リスニングにも、スピーキングにも、です。^^
ですので、難しいものを聞くよりは、
簡単なものを聞く方がいいと思います。
簡単な英語を沢山聞く、
字幕を付けて聞いて、見た、
これらは英語の音を聞き取る力、
そして意味を理解する力のアップ、
この両方に役立ってくれました。
【語彙力アップ】
音は聞き取れても、意味がわからなければ、
何もなりません。
また、単語帳を目で見て、日本語を覚えているだけの人は、
音からの単語力が圧倒的に足りません。
更には単語は意味と音だけでもなく、
これらのもの全部が必要になります。
音と意味とスペリングと使われ方(その使われている機能)を理解する。
コロケーション(単語のつながり)を知る。
基本的な語彙力がないのなら、
今すぐ単語帳を耳からも、目からも
全部覚えるくらいやった方がいいと思います。
そして、そこで止めてはだめです。
それでは、その単語の一部を知っただけで、
使おうと思ったときに、その単語たちは全く使えません。
それらが実際にどうやって使われているのかを、
生きた英語を使って確認する必要があります。
単語は何度も言っていますが、
実際の使われ方や
コロケーションを知らないと使えないので、
少なくても英英辞典で、その単語のコアの意味や例を理解するようにします。
更には、実際の会話やドラマなどで使われているところを見る、
そういう風に複合的に覚えていき、
やっと使えるようになるものです。
単語帳で単語を覚えて終わり、なんて
思わないでくださいね。
そこはあくまでも、はじめの一歩、という状態です。
私が今、アプリ記事で力を入れているのは、
こういう単語の使われ方でもあります。
英語圏の生活から実際に生きた英語表現や単語を、
日本語で日本人視点で解説してくれるものが、
私自身、日本で英語を勉強していたときに欲しかったからです。
なので、今私は、その部分をアプリ記事にして書いています。
【英文法を理解する】
英文法は、英語を使いたい人にとって、
最強のお役立ちツールです。
勉強としてだけ学ぶモノではありません。
どうやって使っていくのかに注目して学んでいくものです。
そうしないと、いつまで経っても使えるようにはなりません。
私が、メール講座で力を入れているのが、ここです。
定番表現だけでも、ぎこちない会話は成り立ちますが、
実はフレーズを覚えるだけでは、限界があるのですね。
(海外旅行で必要な情報を集めるくらいなら、
フレーズの暗記くらいでも大丈夫だとは思いますが。)
それにフレーズを覚えて、会話を成り立たせようとすると、
フレーズを永遠に覚え続けないとなりません。
そうやって覚えたフレーズを、
状況によって使い分けたり、
少し変えて話すには、やっぱり英文法が必要になります。
なぜかと言いますと、
英文法を学ばないと英語は自分で
文を組み立てられないからですね。
全部の文を一から組み立てる必要はありませんが、
フレーズを応用したりする場合でさえも、
やっぱり文法知識がないとうまくいかないのです。
フレーズを応用するにせよ、
自分で文を一から作るにせよ、
そういうことをとっさにできないと、会話なんてできないのです。
更には、英文法知識がないと、
英語をきちんと理解もできません。
英文法は難しい、わかりにくいと、
多くの人が苦手意識を持っています。
それは英語を勉強として捉えすぎているせいですね。
でもですね、ドラマの中で話されている会話だって、
英文法のルールを知らないと、理解できません。
お決まり表現なら、そういうものとして覚えてもいいですが、
最終的には、それでは行き詰ります。
学校で教わった英文法だって、
実際にドラマを理解するのに役に立つ大事な知識なんです。
ただ学校の英文法だけで、
ドラマなどの英語を理解しようとするときには、
ちょっと難しいんですね。
それは、文法をルールとしては、知っているものの、
それがどういう風に使われるのかを知らないからです。
つまり、
「ネイティブが自然に使っている文法感覚」と、
その「学校で学んできた英文法の知識」 が
結びついていないのですね。
それは、(学校で)英語のユーザーでない人たちから、
英文法を学んできたケースが多いからだと思います。
私の中学校高校の先生たちを振り返ってみても、
英語が実際に使えた先生は、一人しかいませんでした。
私の場合、残念ながら、そういう先生方に教わったので、
「使える英文法」 が、感覚的に身につく機会はありませんでした。
実際の英語ユーザーでない人は、
知識としての文法しか教えることしかできないんです。
基礎力を蓄えるという点ではそれでもいいのですが、
やはりユーザーとしての視点が欠けていると、
英語はいつまで経っても使えません。
なので、メール講座では、ここに力を入れています。
(※かと言って、元々の英語ネイティブ、
環境によりバイリンガルになった帰国子女の人は、
文法自体を知らない人が多いものです。
文法は、文法を知っていて、
なおかつ両方の言語を使える人に学ぶのが一番です。
発音やフレーズは、ネイティブや帰国子女の方たちに
教わるのがいいと思います。
学びどころを間違えない方がいいでしょうね。)
【音読】
簡単な英語を聞く、
単語を総合的に学ぶ、
文法を、使う感覚を含めて学ぶ、
これらを更に強化してくれるのが、【音読】 です。
リスニングから英文法、語彙、
頭の中の処理スピードを上げる、
これらすべてに貢献してくれるのが、毎日の音読です。
音読に関しては、Vol.289 (4/15) の配信で、
詳しく述べていますので、参考にしてください。
「英語がわからないのは、英語が聞き取れないせい。」
と思っている人は多いと思います。
私もかつてはそう思ってきました。
でも実際は、聞き取り力の問題だけではなく、
英語を理解する力も大きく関係してくるのでした。
なので、英語は全体的に底上げしていくことが
大事なのですね。文法、語彙、リスニング力、
どれかが欠けても英語はわかりません。
やることは確かにたくさんあります。
でもそれを少しずつやっていくことが大事です。
何をしていいかわからないと言う人は、
とりあえず私のメール講座を読んでみてください。
実際に私がやってみて効果があった勉強法と
基礎からの文法(使える文法)を解説しています。
さて、では実際にどうすれば英語が聞き取れるようになるのか?
(1)の「音が聞き取れない」を解消するための方法
については、以下の記事で続きをどうぞ。
【英語の音を聞き取る耳を作る】
★ 英語の音を聞き取る究極の方法
★ 発音練習こそが、リスニングの鍵。
【ディクテーション】
★ 英語の音を正しく認識する訓練法
★ どうしたら英語を聞き取れるようになる?
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