この記事は、
[1] 勉強を始める前に絶対にすべきこと。からの続きです。 おもしろい記事を読みました。
またまたPsychology Today からです。
「ビジョンや夢を持つことは成功の鍵である」と、よく言われますが、
この記事では、「ビジョンを持つと、かえって逆効果になる」
ということが主張されていました。
ビジョンを持つことはいいことだって、思っている人は多いと思います。
いろいろな偉業を成し遂げた人、一代で富を築いた人、
そういう人たちは皆、大きなビジョンを持っていたと言われています。
だから私たちも成功したいのなら、ビジョンを持たないといけない、
とよく言われますね。
この通説を、何の疑いも持たずに信じている人も多いと思います。
では、そもそもなぜビジョンを持つことがいいと言われているのか、
知っていますか？
目次
◆ なぜビジョンを持つことはいいと言われている？
以下、記事を引用します。
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一般的に言われていること。
ビジョンや夢を持つことは、引力の法則
(the Law of Attraction) に基づいています。
引力の法則とは、あなたがそう願うのなら、
それを得る（引き寄せる）ことができる、という考え方です。
だからあなたがポジティブな気持ちを持つのなら
ポジティブな結果につながる。
またこういう人もいるそうです。
ビジョンを持つということは、単にポジティブな気持ちを
持つということだけではなく、更にはあなたの潜在意識へも働きかける。
だから上手く行くのです、と。
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◆ ビジョンは逆効果？
でも、この記事を書いた医学博士は、
「写真を貼ったり、ポジティブな宣言を紙に書いたりすることは
準備をしたり、はっきりとゴールの輪郭を描く点では役に立つかもしれない。
でも実は、ビジョンは弊害となる場合もあるんだよ。」と言っています。
「えー、本当？」と思いません？
私は、この記事のタイトル「ビジョンを捨てよう！」を目にしたとき、
どういうことかな？と思いました。
でも記事をきちんと読んだら納得しました。
で、この記事の内容は、きっと皆さんも知っておいたほうがいいな、
と思ったので、シェアすることにしました。
◆「ビジョンは逆効果」の根拠
記事では５つの研究結果をもとにして、
ビジョンは逆効果であると述べています。
そのうちの３つを訳しますね。（元の研究論文からも少々追加。）
＜実験１＞
（記事の根拠となった元の論文（研究論文）を見つけました。
実験は、我が母校 (UCLA) で行われたようです。）
実験は中間試験の５-７日前に始められました。
被験者は、とある心理学の授業を取っている大学１年生たち。
彼らは３つのグループに分けられ、それぞれ指示を受けました。
【グループ1】
グループ１の生徒は、
“中間試験を終え、とてもよい成績を取り、
その結果で素晴らしい気分になっている自分” を
毎日イメージをするように言われました。
【グループ2】
グループ２の生徒は、
“中間試験でよい成績を取るために
いつ、どこで、どのように勉強をするか、勉強している自分” を
イメージするように言われました。
【グループ3】
グループ３の生徒は、
特に何も試験に向けてイメージするようには
言われませんでした。
分かりやすく簡単に説明し直しますと、
【グループ1】は、
ゴール達成という結果（ = 良い成績を取ること）のイメージにフォーカスし、
【グループ2】は、
ゴール達成のためのプロセス（ = 良い勉強習慣）のイメージに集中したわけです。
で、結果はどうなったと思います？
もし一般的に言われているように、
ビジョン（よい結果をイメージ）することがポジティブに働き、
更に潜在意識へも働きかけるのだとしたら、
よい成績を取るとイメージしたグループ１は
一番よい成績を取っていたはずですよね。
でも結果はそうではありませんでした。
よい結果（達成感）をイメージしていた学生は、あまり勉強せず、
テストでいい点を取ることができませんでした。
自分自身によいイメージを抱いていたものの、達成度は低かったのです。
一方で、勉強することをイメージしていた学生は、
より勉強し、より良い成績を取ることができました。
更におまけとして、ストレスも少なかったそうです。
＜実験２＞
同様の実験が同じ教授たちによって行われました。
今度はゴルファーとテニスプレーヤーが被験者です。
ここでも同じような結果が出ました。
勝利をイメージした人たちよりも、
トレーニングをイメージした人たちの方がより良い結果につながったそうです。
＜実験３＞
大学4年生の学生たちは、卒業後の自分の理想の仕事 (dream job) を
どれくらい頻繁に頭の中でイメージを描いているか
記録するように言われました。
で、2年間に渡るフォローアップの結果はこうでした。
成功をより頻繁に頭の中で夢見ていた生徒たちは、
あまり夢を見なかった学生と比べると、
実際に仕事へ応募した数も少なく、
受け取った仕事のオファーも少なく、
そして給料も低かったそうです。
これらの結果をあなたはどう捉えますか？
これらの実験から以下のことが言えると思います。
◆ ビジョンは行動のエネルギーになるとは限らない。
被験者たちは夢（ビジョン）を持っていたにも関わらず、
成功につながらなかったわけです。
夢を見ていたのに、上手く行かなったわけですから、
むしろloser と言われてしまうかもしれませんね。
これらの実験は、
一般的に言われている
・ポジティブマインドによる「引き寄せの法則」や、
・ビジョンは潜在意識に働きかけるという、
何となく皆が信じていることを、覆しました。
達成した姿をイメージするだけでは、成功はしないということですね。
でもここで誤解しないで欲しいのは、
夢を見るということ、それ自体は悪いことではないのです。
アイディアや、考えることや、夢はすばらしいものです。
でも夢自体があなたの成功の保証をしてくれるわけではないということです。
なぜならビジョンや夢は、必ずしも、あなたを実際に行動させる
エネルギー源となってくれるわけではないからです。
◆ 成功へつなげるためには？
あなたの完璧な将来の世界、生活を夢見ることは、
短期間ではあなたの気持ちを高揚させてくれます。
でもあなたの夢を現実のものにしようとするとき、
実はビジョンは、ここに挙げた実験結果のように、
夢見る夢子さんになって、
あなたの可能性のブレーキとなってしまうこともあるようです。
では夢は見てはいけないのでしょうか？
いえ、決して記事の著者はそういうことは言っていません。
夢は大いに見て結構、でも大事なのは、
どのようにそれを成し遂げるのか、どうやって手に入れるのか、
それを心に描いて計画することだそうです。
この著者は、
why, how, when & where you will make it happen、
この全部にフォーカスすることが大事だと言っています。
つまりなぜ、どのように、いつどこであなたが実現するのか
それを考えることが大事だと。
一般に言われているビジョンは、「what 」に相当するものですね。
それは最初のステップに過ぎないのに、
多くの人は、そこを夢見ることしかしない。
ビジョンを描くことは、たった一段階のステップではなく、
そこで終わってはダメで、
次のステップ「why」「how」「when」「where」のビジョンも
持たないといけないようです。
実験でも、方法やプロセスをイメージした人は、
結果だけをイメージした人よりも達成率が高かったのでしたね。
なら私たちもしっかりと、
何を成し遂げるかの結果のビジョンだけを持つのではなく、
なぜ、どのように、いつ、どこでというプロセス、
つまり実際に自分が行動している姿をイメージして
ビジョンをもつようにしましょう。
ビジョンは行動につなげないとなりません。
夢見るだけの残念な人で終わらないためにも、
そこに至るまでの具体的な方法は何かを考え、
どこでいつ自分は努力しているのか（実際のプロセスや行動）も
しっかりとイメージし、
ゴールを自分へ近づけることが大切なようです。
なかなか勉強になる面白い記事でした。
[3] なぜ、あの人はあなたよりも頭がいいのか？ へつづきます。
[1] 勉強を始める前に絶対にすべきこと。
[2] ビジョンの罠。（この記事です。）
[3] なぜ、あの人はあなたよりも頭がいいのか？
[4] 勉強方法で、頭は良くなるか？
