今日は金曜日。金曜日の夜はお外でお食事、そう思っている人が異常に多いと思われる、私が住んでいる町。ウェイトレスにとっては、へとへとになる日だ。
今日はお店の外まで待っているお客さんの列が…。さばいてもさばいてもまだ来るか。5時少し過ぎから8時半まで一度も時計を見ることもなく、休む暇もなく、ただひたすら走り回っていた。歩いていては間に合わないのだ。何で金曜日にここまで集中する?!
私が今働いているお店はファミリー向け、つまり単価が安い。なのでチップはそれほどもらえない。前の店の倍ほどの忙しさで、前の店と同じくらいのチップになる。しかし前の店は暇だった。今の店はいつも忙しい。トータルで考えると今の店の方がもらえる額は多いのだが、労働量は3倍ほどだ。そう考えると割が合わない気もするのだが、今のお店の方が待遇がいい。
おなかがすいたなぁ、と思っているとお寿司を作ってくれたりもする。賄いも必ず毎回というわけではないけれど、作ってくれる。そして何よりマネージャーがとてもフェアでいい人だ。私が出会った韓国人の男の人の中で誰よりも人ができている。何せ韓国人のYoung Mi(去年のルームメイト。最近一緒に働き始めた。)でさえ「出会った韓国人の中で一番いい人柄」と言うくらいだから。彼は本当に穏やかで人の話も良く聞いてくれるいいマネージャーだと思う。お店によく来る私の友人も「レストランのサービスは悪いが、マネージャーがいい人だから、また行こうという気になる」というくらいだ。
皆「忙しさの割りにチップが少ないから辞めようかな」と一度は考えても、「マネージャーがいい人なので、こんなにいい環境はそうそうないな。」と思いとどまるほどだ。しかーし、今日の忙しさは異常だった。いつもの1.3倍は働いた。(ちなみに通常だって忙しい。)しかしチップはいつもの金曜日と同じ。この事実に私たちウェイトレスはショックを受けてしまった。
よく考えれば、当たり前なのかもしれないが。何せロクなサービスが出来ないのだ。私たちが働いている店では枝豆と味噌汁がただなので、それをお客さん全員に配るだけでも手間がかかる。しかもタダなので、この忙しいのにお代わりを平気で要求してくる。
ここまで書いたところ、Young Miから電話がかかってきた。「あんなに働いたのに、このチップは何?労働量に見合わない!」全く同感である。はっきり言って今日はへとへとになるほど働いた。ずっと重いものを持って走り回って、あちこちに気を配りながら、たくさんのことを同時にこなしたのに、このチップの少なさは何だろう?前の店なら、今日くらいの労働量ならはっきり言って、倍はもらえたと思う。本当に肉体労働者って、割りに合わないようにできているんだな、とつくづく思えてくる。
問題は、このレストランの値段である。安すぎるのだ。Dinnerなのに、6ドル代のDinner menuがあるって…?倍にしてもいいようなボリュームである。この価格の安さがチップの少なさに影響している。そして来るお客も安いから来るお客なのだ。ここら辺が前のレストランとは違う。前のレストランではたとえ25ドルしか使わなくても、10ドル置いていってくれるお客さんは結構いた。今の店は30ドル使っても、3ドルから5ドルほどしかチップを置いていってくれない。つまり客層が違うのだ。お金持ちでない人が行く場所は、所詮安いお金しか回らないのだ。
お店にとっては忙しくていいのかもしれないが、雇われている方は大変だ。数で勝負しなければならないのだから。Young Miとここまで忙しいのに、これだと考えちゃうよねぇ…と愚痴をこぼし合ってしまった。
とても働きやすい環境なのだが、私たちはお金のために働いている。肉体労働は本当に割りに合わない。このへとへとになった労働の後、夜10時頃から更に宿題をこなしている私たち。ほとんどが学生なのだが、皆よくやっているな、と感心する仲間ばかりである。本当にこの仕事場、チップの少なさがなければ、最高にいい環境なのだ。
それにしてもこの歳で外国でウェイトレスで生計を立てている人もそう多くはないだろが、ま、途中経過ということで自分を慰めよう。
ふぅー、それにしても今日は本当に自分でも感心するくらい働いた。皆で自分たちを褒め合ってしまった。あれ以上は働けない。
さ、気を取り直して数学の宿題を始めよう。12時になってしまった。