昨日、アメリカは選挙だった。アメリカの選挙は自分で登録しないと、投票ができない。自動的に20歳を超えたら選挙お知らせハガキが届く日本とは大違いだ。登録制なこと、火曜日に選挙が行われること、これらはかなり投票をわざとさせにくくしているような…。大体一番最初に制度を決めてしまい、それを変えにくい制度を作っておけば、なかなか物事は簡単に変えられない。
噂どおり、選挙前なので、ガソリン代はかなり安くなった。この2ヶ月ほどで1ドル以上安くなったのではないか。ガソリン代が安くなれば、一般人の理由なき怒りはかなり収まる。確かにかなり操られているような印象だが、実際にそういうことが可能かどうかは分からない。
アメリカの選挙で私が好きになれないのは、TVで流される中傷コマーシャル。CAではシュワルツネッガーによるライバル候補の悪口広告がここ2ヶ月ほど(正確な期間は分からない)TVでいつも流されていた。内容は「この人はこんなに主張を変えています。こんな人を信用できますか?」といったようなもの。(もちろんライバル候補(名前を忘れた)の逆襲コマーシャルもあるが、そちらの方がまだ許せる内容だった。)どちらにしても、品位のない足の引っ張り合いで、かなり低いレベルにまで選挙自体の質が落とされている。くだらん広告に大金をつぎこむなら、もっと他に金の使い道があるはず。
Propositionに対する賛否両論広告も感情に訴えるコマーシャルばかりで、肝心の中身についてはきちんとしたデータを与えてくれない。きちんと小雑誌を読む人しか、自分で判断はできないだろう。わざとらしい演技で、「これでもあなたは賛成しますか?」というコマーシャルに腹が立つ。データは示されるが、データは操作次第でかなり違った印象を与えられるもの。最近Statisticsの授業を取っているせいで、データのいい加減さが目に付くようになってきた。
何にせよ、お金がないとここでは物事が進まないということだ。お金がなければ、どんなにいい候補者だって、CMが作れない。どんなにいい提案だって、お金がなければ人々に訴えられるCMが作れない。何も考えない人は感情だけでCMに操られているのだから、CMが作れないということは、人々にアピールする手段すら持てないということになる。しかしこれだけCMが流されるということは、逆に言うと何も考えていない人が多いということか。
CMだけではない。CMを流すTV局の意向も選挙に影響するだろう。前にケニアから来た教授が言っていたことを思い出す。「アメリカは上に立つ人は誰でもいい。それよりもお金を持っていることが大事。なぜならお金を持っていれば、優秀なブレーンは集められる。少しばかりできる政治家よりも、能力に関係なくお金を持っている人が政治家になったほうがいい。そして、それがアメリカの政治だ。」かなりアメリカを馬鹿にしたモノの言い方にそのときは驚いた。しかーし、ここまでくだらないTVCMが多いこと、シュワルツネッガーが3年前に知事になったこと(しかも結構直前にTV番組で立候補すると表明した。しかも確か主演映画の公開直後だった。)を考えると、まんざら嘘でもないかもしれない。
日本だって、金がなければ選挙はできないだろう。しかし足の引っ張り合いのような広告は絶対に放映されないでほしい。なぜなら選挙民全体の品位が下がるような気がするからだ。
しかしアメリカにいると、日本の情報にうとくなる。こんな私に今、日本の選挙のことが真剣に考えられるだろうか。恐らく無理だろうな。大体次の選挙がいつなのかも忘れてしまった。
うーむ…。