自分で自分が格好いいと思うときがある。それは運転中のこと、正確に言うと停止中。ストップサインで止まっているときのことである。
アメリカでは信号がない交差点にストップサインがある。そしてそこの前では必ず停まり、前と左右を確認して3秒待ってから交差点を抜ける。実際には3秒停まっている人はまずいない。先に交差点の手前で停まった順に、交差点に入っていくのだ。これは徹底されているので、たとえ信号が停まったときでもアメリカ人は慌てない。順番に行くクセがついているので、交通整理要らずで渋滞はまず起こらない。(日本だったら我先に行こうとする人で大渋滞が起きそうだ。)
ところが時々違う方向から来た車が同じタイミングでストップサインで停まってしまうことがある。そういうときはどちらが先だったか見極めるのは難しい。すると、ここでアメリカ人ドライバーは“先に行っていいよ”と手で合図するのだ。私はそうしてよく先に行かせていただいていた。
「でも、あれちょっと格好いいな。」と思っていた私。私もやってみたくなった。しかしなかなか相手より手を出すタイミングがいつも遅れる。なので大抵先に通してもらい、ありがとうの意味で相手に手を上げる、こういうことが多かった。
ところが最近、LAに越してきてから状況が変わった。私の家の辺りは住宅地であり、大通りが混んでいるときに抜け道を使おうとすると、いたるところにストップサインがある。このストップサインのお陰で段々と手を出すタイミングが早くなり、アメリカ人と同じような手の動きをマスターした。そうして合図を送り、相手からThank youの意味で手を振られる。ふふ、こんなとき、ちょっと自分は格好いいな、と思ってしまう。