先日、メキシコから帰ってきた後、何だか鼻の奥が痛いなー、と思っていたら、あれよあれよという間に具合が悪くなり、先週は二日も仕事を休んでしまった。3連休明けの火曜日の午後、段々と自分が何をしているのかよく分からなくなるほど、ぼぉーとしてきてしまい、帰宅してからはベッドへ直行。寒いやら、熱いやら、体のあちこちが痛いやら、頭も痛いやら、うめきながら就寝。
翌日は仕事へ行ける状態ではなく、強い市販薬を飲んだ後は少しよくなり、薬が切れると再び悪化。さらにその次の日も同様。一晩中、うめいて起きて体力も消耗。二日目はさすがに我慢できずにふらふらとやっとこさ、病院へ。
実は6月1日からFull Benefit扱いになった私。しかしまだ保険証(カード)が送られてきていなかった。しかし確実に6月1日からは保険が使えることが分かっていたため、保険を使って病院へ行こうとしたが、病院へ勤めている人から「保険は使わずに、この病院へ行きなさい。」とアドバイス。そこはWalk in(アメリカの病院は予約しないと医者に会えないところが多く、日本のようにどこでもいつでも初診が可能というわけではない。)の安い病院で、患者のほとんどはヒスパニック。あるいはWhite Trash。(言葉は悪いのは承知だが、本当にそういう人のみ。)病院名も思いっきりスペイン語で、Clinica Medicaである。
さてそういう病院、保険を提示するよりも、自腹で払った方が安いのである。私は$45だった。これがちゃんとした保険を使うと(私のPPOは、ある程度の金額までは自腹で払い、その後はカバーされるプラン。)、かえって45ドルよりも上乗せされてチャージされてしまうらしい。なので自腹で払います、とまず告げて、料金前払いで医者に会った。
体温計もなかったので、どれくらいの熱だったのかは家では分からなかったのだが102Fと言われる。102Fてもぴんとこない。携帯電話を取り出し、計算する私。あら、39度近い。どうりできちんと座っていることもしんどかったわけだ。病院でタイラノールをもらい、薬局で22ドル払って処方箋をもらう。そしてこの頃にはすっかり体調も回復。
病院では「注射をすると、即効性があるけれども、80ドルかかるからどうする?」と会計の際に聞かれた。しかしそのとき、病院でもらったタイラノールのお陰で少し回復気味だった私。断って帰ってきた。看護婦さんは、「具合が悪くなったら、すぐに注射できるようにしておくから、いらっしゃいね。」と言ってくれた。
帰宅後、しばらくは調子が良かったのだが、タイラノールが切れてまた一晩うめきまわった。処方箋としてもらったのは、抗生物質と咳止め。一緒にいた人に「何で解熱剤、買ってこなかったの?」と聞かれたので、「えっ、だってお医者さん、処方してくれなかったよ。」と答えたところ、「解熱剤は市販薬でしょ。医者が処方するわけないじゃない。」と言われた。「へ?アメリカってそうなんだ…」と初めてそんなことを知る私。
寝込んで3日目の朝。一晩うめいたせいで体力消耗しまくり。「駄目だ、注射、打ってもらおう。」と再び病院へ。キャッシュで80ドル支払い、お尻に注射を受ける。昨日と同じ看護婦さんで、「先生は何を処方したの?」と聞かれたので、「抗生物質と咳止め。」と答えたところ、「あー、じゃ、自分で解熱剤買って飲むといいわよ。」と言われた。本当にアメリカって解熱剤は処方箋じゃないんだ…と納得。
その後、どうにか仕事へ行った私。私のボスと大ボスが心配してHRに私の保険のことを問い合わせてくれていた。HRのマネージャーも私のところにやってきて、「もうカバーされているから、保険を使って払い戻しするといいわよ。」と言ってくれた。ボスにも「そうした方がいいのではないか。」と言われたのだが、「実は安い病院へ行ったので、保険を使うよりも安い。」と伝えたところ、「そんなところがあるのか。知らなかった。どこそれ?」と興味を示す。
私とボスの会話を聞いていたメキシコ人の同僚が「自分も病気になったら、そういう病院へ行くので、多少の病気なら保険を使うよりも安い。」と後ろから会話に参加。さすが移民だけあって、巷のアメリカ人よりも情報は持っているといったところか。
実は私が言った病院よりも更に安い病院もご近所にもう一軒。私は45ドル払ったが、そちらの安い病院は25ドル。しかしそのためいつも混んでいるらしく、私はもうひとつの病院の方へ行ったのだった。Walk inがOKで、待ち時間30分で、45ドル。まぁまぁでしょ。自腹で払った金額だけを考えると、実は日本の保険なしの状態よりも安い。(一度保険なしで日本で病院へ行き、16600円ほど取られたことがある。)
やっぱり持つべきものは、したたかにたくましく外国で生きている移民仲間である。こういう情報、日本人の友人からは入ってこない。日本人向けのサービスは全てoverpriced。中国人街やヒスパニック街と、価格の点では比較にならない。しかし安いからと行ってどこにでも行って満足かというと、そういうわけでもない。地元の人の情報をまず聞いてから利用しないと、痛い目にあうこともある。
しかし今回は助かった。あの抗生物質と注射がなければ、まだ熱は続いていたかもしれない。今はすっかり回復。そして久しぶりにビールも復活した今夜。