今年は桜の季節が遅かったようで、東京近郊でも帰国後少しは桜を見ることができた。しかし帰国は10日だったので、散り際の桜だった。ここ2年、桜の季節に日本にいなかったので、満開の花をしばらく見ていなかった。そして今後はいつこの時期に日本にいられるのか予測がつかない。「ならば見られるうちにもう一度見ておきましょう」ということで、今日は桜を求めて北上した。
福島まで東北自動車道で一気にたどり着き、遊行柳、白河の関、南湖公園へ。ここではまだ桜は早かった。2,3分咲きと言ったところか。まだ梅が咲いていたほどである。南湖公園のほとりにある神社に見事なしだれ桜があった。こちらも満開まではまだまだである。しかしこのしだれ桜、満開ならさぞかし立派だろう。京都、円山公園のしだれ桜に匹敵するのではないだろうか。
田舎を歩けば、桜があちこちに無造作に咲いている。私の家の近所もそうだ。東京では限られた場所でしか見られないため花見は混むが、田舎はいつでも特等席が空いている。作られた美しさではなく、自然の中でおおらかに育った桜は東京の桜とはまた違った雰囲気がある。山の中の緑に混じり、ぽつぽつと見えるピンク色は桜のたくましさを感じさせてくれる。今日は天気も良かったので、青空と桜のコントラストがとても視覚的に映えた。
帰り道は途中まで高速を使わずに田舎道を走った。どこもかしこも桜が咲いている。満開の桜を見ると日本人でよかったな、と毎年思う。桜だけは日本人にとって特別な花だと思う。寒い冬が終わり頃、春になることを一斉に知らせてくれ、その見事な咲きっぷりで“なんとなくいいことありそうな”気分にさせてくれる。そしてそんな気分になれた今日。日本に帰って来られてよかった。