日本へ帰る飛行機の中で知り合った人。彼女は旦那さんと二人で日本へ向かっていた。彼女たちも私と同様に、Prestige Classの席へたまたま入れてもらえただけで、ビジネスクラスは未体験だった。Prestige Classの席はエコノミークラスと異なり、一つ一つの席にいろいろな装置がついている。それを私たちは、一つ取り出しては「あぁ。(こういう風になっているのか)」「おぉ、快適、快適。」と喜んでいた。
しかし、時々、二言三言交わすだけで特に会話もすることなく、私はその後5時間熟睡。(Prestige Classは寝心地が違うので、一度も起きず。)目が覚めた後、私も彼女も飛行機の中に段々と飽きてきたので、退屈しのぎに話を始めた。
お箸を上手に使ったり、出されたビビンバをためらいもせずに作っているので、アジアが好きな人なんだな、と思っていたら、以前日本に住んでいたことがあると言っていた。滋賀だったか(京都だったか)で英語学校で働いていたとのこと。「今回はなんで日本に行くの?」と聞いたら「ツアーなのよ。」と言っていたので、びっくり。何でも日本のジャズクラブのようなところからゲストとして招かれて、東京と関西(大阪だったかな?)で歌を歌うために、今回は日本へ来たとのこと。
「私、生まれ変わったら歌の上手な人に生まれたいんだよね。」と言ったら、「歌手は元々歌が上手な人だけではなく、ある程度は訓練なのよ。だから歌は練習すれば上手くなるのよ。」と言っていた。本当か? ちなみに私が歌がうまかったらいいな、と思う理由は、歌が上手ければどんなところでも生きていけそうだから。楽器やコンピュータがなくても、自分の体そのものが資本になれるっていいな、と思っているからだ。大道芸人にもなれるし。(なれないか。)
ま、とにかくその後1時間くらいはずっと話していた。一緒に日本の歌を歌ったりしながら。昨日やっと残っていた荷物整理をしていて、飛行機の半券に書かれた彼女のウェブページのアドレスを見つけた。それがこちら。
http://allisonadamstucker.com/index.html
しかしウェブで見る彼女は、まるで別人。きれいに化粧をして、ドレスを着て。実際に私が話をした本人は、飾りっ気もない、どうってことない格好をした、アメリカのどこにでもいそうな恰幅がいいおばさんだった。今度はアメリカ国内でまたツアーに出るらしい。ツアーって大変そうだ。私は一人でふらふらと旅をするのは好きだが、旅をしながら仕事はできそうもない。タフな人だ。