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その国仕様の食べ物

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今日は昨日知り合った方とタイレストランでお昼をご一緒した。レストランへ連れて行ってくださった方は、こちらに住んで22年になる日本女性である。私は辛いものが大好きなので、タイ料理はお気に入りの料理の一つである。10年前、タイへ行ったときは安さとおいしさに感動した。しかし今日の料理、もちろんおいしかったのであるが、タイで食べたものと違い、ほとんど辛くなかったのである。そして少し甘かったのである。料理もその国の人の嗜好に合わせて変わるのだということを改めて感じた。

そして夜、今度は日本食レストランできれいなお寿司を見た。グリーンとオレンジのコンビネーションが、それはそれはきれいなグラデーションを作っていたのである。聞いてみると、グリーンはワサビで味付けをしたので、緑色になるそうである。もちろん着色料は使っているけれど、と板前さんは説明してくれた。

お寿司に着色料ですか…、と少し驚いた。でもアメリカ人は「Wow, beautiful!」と言って、とても喜んでいる。そりゃアメリカ料理に比べれば(ところでアメリカ料理って何だろう?クラムチャウダー?)何でもbeautifulには違いない。私の感覚からすると、この不自然であざやかなグリーンの魚の卵(何の魚の卵だかは忘れた)はちょっと不気味だ。そういう色のものが元々存在しないと知らなければ、元からそういうものとして受け止めるだけかもしれない。私だって他の国へ行き、知らないものを初めて食べれば、何でも素直に受け入れるかもしれないのだ。いや、しかしあまりにもあざやか過ぎる食べ物は、どうせ着色料が入っているに違いないと私だったら疑うとは思うが。ま、着色料や保存料なんて大抵何の食べ物でも入っているので、それを食べないとは言いませんが。

最初にアメリカへ来たときに驚いたのは、スーパーでよく売られているでかくて長方形のケーキ。そして見事なパステルカラーのクリームと飾りつけ。「げっ、何だか気持ちワルい。」と最初は思ったものである。もちろん日本のケーキだって、着色料は沢山使っているとは思うが、あくまで自然な色に仕上がっている。どちらも大差はないのかもしれないが、アメリカのケーキはとても体に悪そうに見える。でも小さい頃からそれを見ていれば、その色が自然なのかもしれない。

そして今日のお寿司の美しいカラー。海原雄山が見たら(美味しんぼを読んだことのない方には分からないと思うのですが)「このたわけっ!」と一喝するのは間違いがない。私は日本人なので、日本人仕様の日本食をアメリカで食べたいと思うのだが、大抵はもちろんアメリカ人仕様に様変わりしているため、それは難しい。

ここで「アレ?」と思った。私は中華も好きだが、中国へ言ったことはまだない。ひょっとして私が好きだと思っているのは、日本人向けの中華なのか?本場で食べたら、味はまた違うのだろうか?うーん、そう考えると、行ったことのない国の食べ物を語る資格はないのかもしれない。ま、料理もその国に合わせて違う食べ物になっていくということで。段々何がその国の料理だか、国境はなくなるのかもしれない。私の大変よく知っている方(料理人)が前に言っていたことを思い出す。「料理なんて基本はどこの国の料理でも同じだ。基本を知っていれば、どの国の料理も大差はない。」これまた美味しんぼで出てきそうなセリフである。

私が今まで行った国でおいしかったものは、
1.タイ(何でもおいしかった。道端の屋台だろうが、どこでも。)
2.イタリア(一番美味しかったのは、ベネチアで入ったメキシカンレストラン。なぜかメキシコで食べたものより、はるかにおいしかった。これまたイタリア仕様のメキシカンと言ったところか。)
3.チェコ(小さなレストランに何件か入ったが、どこも安くておいしかった。チェコはビールも絶品。)
4.ドイツ(ハム。ビールもうまい。)

どこの国も、高いレストランへ行っていないので、一概には何とも判断し難いが、高いお金を出せばどこでもおいしいものを食べれるのは当たり前。庶民の普通の食べ物を知るのがその国の美味しさの基準と私は思っている。以下はあくまで私の個人的な印象と好み。
イギリスは食べ物が全般的においしくなかったが、ビールはいける。イギリスで一番おいしかったのは、市場の隅でイタリア人がやっていたイタ飯惣菜。イギリスの中華街のレストランは本当にまずかった。(しかし店の前には、長い行列が。)フランスはビールがまずかった、レストランは日本と同様の質のような気がした。不味いものにはまず出会わなかったが、特にこれと言って美味しかった印象もない。しかし、フランスパンだけは、本当においしかった。アイスランドは塩味が濃い感じがした。デンマークはパンがおいしかった。メキシコは屋台のタコスが一番おいしかった。あとの国は何を食べたのか、あまり思い出せない。まずいものとおいしいものは簡単に思い出せるのだが。

日本人だからそう思うのだとは思うが、日本で食べるものが大抵その国の料理よりもおいしかったりする。それはやはりその国の料理が日本人向けにlocalizeされているからだろうか?そう考えるとやはり行ったことのない国の食べ物については語ってはいけないのかもしれない。

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