先週何気なく立ち寄った本屋で手に入れた「Courrier Japon」。この雑誌には、世界各国の雑誌に掲載された日本に関する記事、または他の国のニュース記事が掲載されている。へぇ、日本ってこんな風に書かれているのね、とか、世界のいろいろな出来事が他の国のメディアによって書かれている記事が読めておもしろい。
いろいろな雑誌の寄せ集めだから、その雑誌特有の切り口など全く感じられない。てんでばらばらの印象だ。でもそれがおもしろかったりもする。一つのことに関しても各国、各雑誌の意見は微妙に違う。アメリカについてのことは、アメリカの雑誌を何冊か読めば分かるけれど、他の国のことはなかなか知る機会は少ないと思う。私はエコノミストが好きだが、それはイギリスの雑誌であり、ヨーロッパやアフリカやその他の国々のことが満遍なく書かれているから好きなのである。
この雑誌は父も気に入ったらしく、先週号を読み終わると、「次は15日発売だからまた買って来い」と言っていた。私が最近英語が読めてよかったな、と思うことは、いろいろな国のことがより多く学べる機会が増えたからである。英語のニュースがダイレクトに読めること、他の国のできごとが英語で多く発信されているということ。もちろん英語で直接聞いたからと言って、それが正しい情報であるかどうかは分からないし、英語に訳された時点で、元々の意味と違ってしまったかもしれない。それでも日本語だけに頼る情報と、英語から学べる情報では、量にしたら雲泥の差がある。
しかし英語の読書スピードは、日本語の読書スピードよりはるかに劣るのが私の悲しい現実なので、こういう日本語に翻訳された雑誌は手早く読めるので助かる。英語だったら興味がなく読まなかったような記事でも、日本語ならとりあえず読める。そして何よりも英語を読めない(少しは読めるが)父のような人には、世界中のことを知るのにとても役立つと思う。そして480円というのも、手ごろな値段だ。
昨日、会社からの帰り道にこの雑誌の第3号を購入。早速電車の中で読んだ。気になった記事が二つ。
一つ目はフランス人ジャーナリストのイラク駐在アメリカ軍への従軍ルポ。その記事のしめくくりにアメリカ人の若者が言ったセリフが載っていた。引用する。「さっぱり理解できないよ。なぜ、イラク人は俺達を嫌うんだ?あいつらが大嫌いな独裁者をこの国から追い出してやったというのに、どうして俺達を恨むんだ?わからないよ。」
私にはこういうセリフを吐ける、この兵士の方がわからない。環境や立場が違えば、人は考えることも感じることも全て違うということを、この兵士は分からないのだろうか?ひょっとして自分達が間違ったことをしているのかもしれないという発想は、浮かばないのだろうか?ときどき極端な考えのアメリカ人と話していると(特に外国へ行ったことのない人たち)、彼らの頭の中には自分以外の価値観を受け入れる余裕が全くないことに驚く。都合のいいニュースばかり流される、金になるニュースばかり流される、そういう意味では、アメリカ人は洗脳されている状態に近いものがあるような気がして、恐ろしい気がする。あの辟易する超愛国主義はこういう人たちが支えているのだ。
二つ目はインドの雑誌から。インドから国境を越えてパキスタンへ腎臓移植ツアーがあるらしい。インド国内では94年から親族以外のドナーからの移植は禁止になった。そこで増えたのがパキスタンでの移植。腎臓を売っているのは、もちろん貧しいパキスタン人たち。腎臓代、21日間入院料で120万。ドナーが受け取れるのは、多くても2200ドル。つまり20万弱だ。残りは病院、そしてブローカーが受け取るそうだ。
手術後、体調を崩し働けなくなった人もいるらしい。地震で財産を失ったが人が、悪徳個人病院などのブローカに誘われたりするらしい。私は臓器を買うなとか、売るなとか言うつもりはないが、(それはその人たちが決めればいいことだ)弱い立場の人を利用して、自分は何もせずにお金を持っていくこのブローカーという存在が何だかわからない。
何もできないが、こういうことを外に知らせていくことは大事だと思う。なので普段は耳に入ってこないこういう世界中で今起こっていることが雑誌が日本で読めるようになることは、とてもいいことだと思う。
もっとこういう雑誌や本が出回ってほしい。