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Medi-Calで考えたこと。

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昨日友人にMedi-Calについて聞いた。何でも彼女のおばあさんの治療費もこれが適用になったらしい。彼女のおばあさんはメキシコから旅行に来ていて、具合が悪くなり病院へ連れて行ったら、末期のガンであることが判明。そしてMeci-Calの申請をしたらしい。何だかたくさん質問事項があって面倒だったそうだ。一方私は一般的な質問に答えただけだ。

今朝学校でHealth Centerへ行き、Med-Calについて詳しく聞いてきた。「病院で申し込んで今これこれの状態で…。」と説明し、今後はどうすればいいのかを聞いてきた。まずMedi-Calはカリフォルニア州の健康保険らしい。ただし貧乏人専用。私は今働いていないし、緊急に加入する必要もあるし、恐らく承認されると思うと言われた。

「申し込んでも通常は1ヶ月ほどかかるし、自分でフォローアップしないと手続きは進まないことが多いから、2週間くらい経ったら必ず病院へ電話をすること。できれば直接行った方がいい。今までの保険ではなくなるので、病院が変わる可能性もある。なので全てのカルテのコピーと、もし病院が変わる場合は必ず緊急性を強調したreferralをゲットすること。そうでないと新しい病院では後回しにされる可能性もあるから。」とするべきことを事細かに教えてもらった。そうか、保険関係で分からないことがあったら、学校のヘルスセンターに相談すればいいのかと初めて気付く。

帰宅後、病院へ電話をしてみた。昨日いなかった担当者と話をするためだ。彼女は、私が受け取ったコピーの中に「Confirmation Document」があるはずで、それは既にApprovedされた証だと教えてくれた。ということで、私はこのプランの適用になるらしい。「2,3日でそのDepartment of Health Servicesから連絡がいくと思う。病院側では手術の日程のアレンジを引き続き行うので、その日程が決まり次第、また連絡をするから。」と言われた。

あまりよく分かっていないうちにも手続きは進んでいたらしい。とりあえず私が今することはないらしい。ということでこの件に関してはちょっと落ち着く。

まだこれがどの程度医療費をカバーしてくれるのかということは分からないのだが、とりあえず貧乏人用の最後の手段、州の保険に加入できたらしい。

友人が言っていた言葉。多くの人がここに移り住んで、やっとの思いで仕事を手に入れる。しかし収入があるから、こういう州の保険には入れない。仕方なく高い健康保険料を支払うか、あるいは保険に加入しないかの選択に迫られる。一方私は何不自由なくここに留学して、おまけにグリーンカードの抽選にまで当たった。そして今度は働きもせず学校に通っているだけなのに、収入がないという理由で州の保険に加入できる。そしてそれはここで働いている人たちの税金から支払われる。

とても耳の痛い話だ。この話を聞いて、気がついたことが2つ。
貧乏人は貧乏人として認定されれば、この国ではそれなりの施しが受けられるらしい。そういえば前に経済の授業で学んだことを思い出した。それはこういうシステムがあるために働かないシングルマザーが増えるということ。そしてそういう人が増えれば、税金を支払っている人の負担はますます増え、逆の意味での不公平感が広がるということ。つまり貧乏人は働かなくても、それなりの福祉が受けられるが、一方ミドルクラスの負担は増え、おまけに全ての費用を自分で負担しなければならない。(金持ちはびくともしないが。)

日本で社会保険&国民保険に加入していたときは、私の収めたお金が他の人に回るから不公平だなんて考えたことがなかった。それは社会保険、国民保険への加入する権利が全ての国民に与えられているからだろう。自分も当然のごとく、その権利があったわけで、税金は自分自身に使われているかもしれないし、人のために使われているかもしれない。特に不公平感を感じなければならない理由もない。しかしここでは、働かない人の方が、働いている人たちよりも多くの福祉を受けやすいということになる。確かにそれは不公平で、「だったら働かない方がいいや」ということにつながりそうだ。しかしこの不公平感はやはり国民全員をカバーする国や州の保険がないためだと思う。やはり公の健康保険は不公平感をなくすためにも、必要なのではないだろうか。

もう1つ気付いたことは、私は恵まれた環境から来たから、恵まれた生活がここでも送れるということ。例え今現在お金がほとんどないとしても、入国した時点の目的を考えれば、私は他の多くの国の人よりもはるかに恵まれたスタートを切っている。ここではかなりの倹約生活だが、貯金だけで働きもせずにどうにか学校に通っている。よく考えれば、これはかなり贅沢なお金の使い道だ。

南カリフォルニアのほとんどの裏方仕事はヒスパニックの人たちだ。彼らは技術もなければ、学歴もない。学校へも行けない。となると、回される仕事は単純作業だけだ。そしてそこからきっと抜け出す方法もなかなかないだろう。アメリカは本当に学歴社会だからだ。恐らく学歴くらいしか、いろいろな人種を総括的に判断できる材料がないせいだろう。

何の技術も知識もない彼らがここに移り住んでも、大抵の場合、先は見えている。私の友人はヒスパニックが多いが、彼らの多くは子供の頃からここに住んでいる合法移民で、多くは大学に通っており、アメリカ人と何ら変わらない。しかし不法移民などでは、私が受けられるかもしれない保険などは適用にならないだろうし、恐らく情報も手に入ってこないだろう。

以前経済の教授が言っていたことを思い出す。アジアからの移民に対して、比較的アメリカ人は好印象を持っている。なぜなら彼らの多くは元々お金を持って入国してくる。お金を持っていない場合でも、彼らや、彼らの子供たちの大学への進学率は高い。そして好循環を作り出す。一方ヒスパニックはいつまでたってもそこから抜け出せないし、不法移民というレッテルを貼られやすいので、イメージがとても悪い。

全ては最初がhaves だったか have-nots だったか次第で、その後の生活環境が決まってしまうことになる。一旦、一部の金持ちや知識階級が力を持つとそれを保持したいと考え、いろいろと手を打つ。そしてそれが世の中の不公平さを保つのに役立つ。持っている人が全てを捨てる覚悟がないと、公平な社会なんてできるわけがない。しかし一度恵まれた環境で育つと、自分でもそれを全部捨てられるかどうか。

外国の生活であっても、最初に恵まれた環境からやって来たから、私はそれなりの生活がここで送れている。おまけに貧乏人用の保険の適用まで受けられそうだ。私が恐縮する必要はないのだが、いろいろな立場の人のことを考えると、何だか少しは考えないといけないような気がする。かと言って今すぐ何かができるわけではないのだが。

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