絶対話せる!英会話

POL SCIの授業から。(その2)

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授業で教わったこと、きのうの続き(格付け会社のところ)から。

AAAをCDOsに与え続け、外国も含む銀行や投資家を信用させていた格付け会社。一体何を考えて、格付け会社は「AAA」を与え続けていたのか? 授業ではMoody’sのことのみしか扱われなかったのだが、Moody’sは最近は昔よりも“収益が何よりも大事”主義に走り、よい格付けをすることの代わりにお金をもらっていたらしい。つまり、「格付けをされる会社」からの収入が増えてきていたので、よい格付けをお金であげてしまっていた。しかしヨーロッパの投資銀行などは、「正直なMoody’s」を信じ投資を続け、瀕死の状態となってしまった。そして今は怒り心頭らしい。

更にこれらの無謀な投資への貢献に一役買ってしまったAIGは、コンピューターエキスパートの言葉を信じていた。債務不履行は、過去を振り返ってみると、10億分の1の確率しかなかった、だからそんなに起きるはずがない、ということ。そしてその結果、「Credit-Default Swaps」は、AIGの保険商品となった。

今度はアメリカの家の話。アメリカの家バブルがどれくらい進んでいたかというと、1997年をゼロとすると、一番高かった2005年の終わりから2006年のはじめにかけては40%の上昇。家の値段が9年間で40%もアップしてしまっていた。しかしそれが今では1997年をゼロとすると、マイナス20%に近づく勢い。つまりこのピークのときに家を買った人は、べらぼうな額の支払いを今でもしているということになる。いくら金利が低かったとはいえ、今はその資産価値は暴落しているのである。

そして元々家を買う支払能力がなかった人たちがこの時期に家を買った。もちろん支払いは滞り始める。ということで支払い不履行の連鎖が起きた。CDOsに投資をしていた外国の銀行は(AIGなどにより保証を受けていなかった銀行)、今やほとんどがinsolventとなってしまった。この状態をどうにかしないとならない銀行や投資家は、自分の身を守るため株を売った。すると今度は株式市場が大暴落。そして行き詰った銀行は、各国政府へ助けを求めなければならなくなった。

一方、AIGから保証保険「Credit-Default Swaps」を買っていた銀行はいっせいにAIGに駆け込んだ。保証せよと。そしてAIGは追い詰められた。アメリカの投資銀行(Bear Stearns、Lehman Brothers)は経営に行き詰まり、新しいキャピタルを探した。Bear StearnsはFedから緊急融資を受けたが、経営が好転することはなく、JPモルガン・チェースに買収されることになった。そしてLehman Brothersは破綻。

今はほとんどの投資銀行はどうにかアメリカのTARP(Troubled Assets Relief Program)にお世話になろうとしている。しかしこれのお世話になるには、その条件を満たさないとならない。

こんな状態なので、今ではアメリカのほとんどの銀行はinsolventに限りなく近いらしい。***Roubiniという人が(教授曰くほとんど予測を間違うことのない人)アメリカの銀行のトータルのキャピタルは$800ビリオン、しかし債務は少なくても$2.5トリオンと見積もっているそうだ。(桁が違うので注意。)これはまるで1990年代のような日本のゾンビ銀行状態と同じ。ゾンビ銀行とはもう何も銀行としての役目を果たせなくなっている銀行の呼び名。

しかしそれでもまだアメリカの救いは、世界一の通貨であるドルを発行できるということ。そして中国や日本のようにアメリカの国債を買ってくれる存在がまだいるということ。しかし***Friedenは、もし外国がこれ以上お金を貸してくれなくなったら(国債を買ってくれなくなったら)、アメリカは一体どうしたらいいのかということを考えた方がいいと主張している。

アメリカに残された道は何だ?これはもちろん人によって違うが、Friedenは緊縮財政を主張。また別の人は、生活水準を下げ、身分相応の生活をし、とにかく外国への借金を返す。または政府の役割を増やして一時的には銀行国有化などを考えた方がいいという。そしていろいろな人が一斉に言い始めたのは、「やはり規制は必要だろう」ということ。または何らかの国際的なガバナンスも考えてもいいのではないか。

授業はここで終わった。一時間にしてはとても濃い授業だった。この濃い内容の授業が週に2回あったのだ。予備知識があまりなかった私は、適度にまじめにはやっていたのだが、金曜日の試験には思いっきり撃沈されてしまった。しかし試験の出来はどうであれ、この授業は本当にとってよかったと思っている。このクラスで取り扱われたテーマは、基本的な貿易理論(労働、資本などに関して)、貿易と国の発展、Offshoringとその影響、保護主義と国内政治(選挙、補助金との関係)、近代国際関係、ブレトンウッズ体制と通貨体制、国際組織(WTO,IMF,World Bank,EUなど)、そして今日書いた規制緩和、それぞれの通貨制度の利点と問題点、中央銀行の役割、移民とその影響、国際投資と国際関係などなど。

これだけのことを一気に詰め込まれたおかげで、今まで何となくつじつまが合わなかった世の中の出来事や、理解が浅かった経済関連のニュースが、とてもよく分かるようになった。というより、今までこういうことも知らずに私は生きてきたのか、と恥ずかしくなった。ということで、この教授には大変お世話になった。教授はこの方。(http://www.polisci.ucla.edu/people/faculty-pages/ronald-rogowski)教授はメールの返事も早いし、オフィスアワーに時々行くといつも丁寧に教えてくれた。
例え成績が悪いとしても、とてもためになる授業だったと思う。

***このRoubiniという人は、Googleしてみた結果、多分この人だと思う。http://www.usnews.com/blogs/the-ticker/2009/01/20/roubini-credit-crisis-losses-could-hit-36-trillion.html

***Friedenは、私が先日面白いと評した「Global Capitalism」の著者、Jeffry Frieden。今はハーバードの教授らしいが、元々は私の学校にいたらしい。ぜひお会いしたかった。残念。

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