今日は、英語が分からないと、
今の日本の中では大丈夫だけれども、
将来的には世界の中での「情報弱者」になってしまうかも、
という話をしたいと思います。
皆さんは日本語と英語では情報量に相当な差がある
ということを意識したことがありますか?
日本語だけだと手に入る情報量が
圧倒的に英語よりも少ない、
そして日本語の情報は、英語圏の情報よりも、
大抵遅れているということを考えたことがありますか?
なぜなら世界の共通言語は、言うまでもなく英語だからです。
英語の情報源には、世界中の人がアクセスし、
そして常に情報がアップデートされます。
単純に考えても、世界中で英語を使う人たちの数と、
日本語だけを使う人たちの数は圧倒的に違うので、
英語の方が情報が多いことが分かりますね。
こういうことを考えると、
日本語しか使えない日本の人は、
英語で自由に情報を集められる人と比べた場合、
かなり不利な立場になります。
トーマス・フリードマン(Thomas L. Friedman)が、
『フラット化する世界』(The World is Flat)の中で
現在の世界はフラットになったと言っています。
今やインターネットの普及で、
ある程度のインフラの整っている国なら、
誰でも英語圏の最新情報にアクセスをすることができます。
ということは、英語ができない人は、
世界中の人が簡単に手に入れられる情報を、
英語ができないという理由で、
みすみす見逃していることになります。
私は、これは次の『Digital Divide』みたいだな、と感じています。
デジタルデバイドとは、
パソコンやインターネットなどの情報技術(IT)を
使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる、
待遇や貧富、機会の格差のこと。
(IT用語辞典より)
で、これが進むと、次は英語による振り分けが進み、
情報を持つものと持たざる者(haves and have-nots)の差が、
世界の中でできあがっていくのだろうと、私は思っています。
世界中の情報は英語で動いている、
でももし、私たちが日本語しかわからないのなら、
英語が読めない日本人は、それらを誰かが日本語へ
訳してくれるのを待たないとなりません。
日本語で日本人相手にのみ仕事をしていく場合は、
日本語だけでも構わないでしょうが、
少なくても海外と取引をしないとならない場合、
英語ができないというのは、今後は致命的になるということを
理解しておいた方がいいと思います。
そして日本はすでに人口が減りつつある国ですから、
国内での仕事は減っていきます。
そうなったときに、どれだけの人が外へ向かって仕事をしていくのに
準備ができているかどうか。
情報がすぐに手に入らないということは、
それだけで海外の動きを察知するのに、後れを取ることになります。
携帯電話がいい例かな、と思います。
日本の携帯電話の技術がどんなに進んでいて
素晴らしいものだったとしても、
世界基準でなかったものは、市場が飽和したり、
市場規模が縮小する中で、成長を続けることができませんでした。
個々の技術よりも、
先に世界基準のプラットフォームを作った人たち、
そしてそれをうまく利用した会社が
勝ち残ったということですね。
中国や韓国のメーカーがあっと言う間に
西洋圏の市場を制したと言うのに、
日本の会社は外へ目が向いてなかったのでしょうか。
私は、日本人の80%の人が英語を自由に読めたとしたら、
こういう状況は起きなかったのではないかと思っています。
そして、英語のサービスを利用できずに
日本のサービスだけを利用していると、
損をするということも理解しておいた方がいいと思います。
それは海外のサービスの方が、日本のサービスよりも
大抵の場合、安く利用できるからです。
特に金融関係、インターネット関連では、
海外の方がかなり進んでいて、
利用者が多いため、安く提供されるわけですね。
何事もそうです。利用者が多いところには
新しく参入してくる会社や資本が増え、
サービスが多く提供されるようになり、価格は下がります。
将来的に日本のサービスしか利用しないということになると、
日本人は常に割高なサービスに、その対価を支払うことになります。
また、海外の方が進んでいることもたくさんあります。
なぜなら世界の多くのモノは、英語圏でまず試されてから、
日本へ入ってくるからです。
英語を使う人数が圧倒的に多いわけですから、
何事もまず大きな市場への導入が最優先されます。
日本はそれでもまだ世界3位の経済圏なので、
とりあえず今は素通りされることはありませんが、
人口が減り、日本の「市場としての価値」が下がるにつれて、
世界の中での優先順序はどんどんと下がっていくと思います。
世界中から得ることのできる最先端のサービス、
それらが日本へやって来なくなる、
そういう日もいずれは来るかもしれません。
わざわざ日本人のためだけに日本語へ訳す、
厳しい日本の消費者を満足させるためだけに別基準で商品を作る、
そういうことは、今はまだ日本が市場として価値があるから
行われることであって、
もし採算が合わないとしたら、
日本市場は素通りされる日も来るかもしれません。
いずれにしても、世界の動きをいち早くキャッチして、
日本でのビジネス、また海外でのビジネスに備えるというのは、
これからの世の中をしっかりと生き残っていく
必要な資質になってくると思います。
私は英語と日本語のどちらでも調べ物をしますが、
数と速さにかけては、
圧倒的に英語での情報収集の方が有利です。
ITや英語を通して、
必要な時に必要な最新情報を集められる力がある人と
そうでない人では、今後、ビジネス、私生活、
全てにおいて、大きな差を生み出します。
私も、世界はインターネットのおかげで、
フラットになりつつあると思います。
学校へ行かなくても、ネット環境さえあれば、
Khan Academy のような素晴らしいサービスで学べますから。
もちろんインフラ次第ですけれど。
と、同様に英語が使えさえすれば、
世界中のサービスが手に入りますし、
技術者なら世界中から仕事を請け負うこともできると思います。
これももちろん英語力次第ですけれど。
ITや英語により、フラットになりつつある世の中、
これらのスタンダードを手に入れないことによるリスクは、
今後大きくなっていくだろうと、
私は、日本の外から日本を見ていて思います。
日本がもう一度力をつけるためには、
個々のこういうレベルを上げない限り、
難しいような気がします。
日本が世界の中で情報弱者になってしまう前に、
日本の一人一人の人が、
一度日本の外へしっかりと目を向けてくれることを願っています。