カリフォルニアでの移民生活は、
移民の数が多いため
違和感を全く感じずに過ごせる、
と先日書きました。
日常生活でもほとんど外国人であるという
差別を受けることがないので、
(差別されたことが全くないとは
言いませんが。)
移民であるということが損だと思ったことは、
私は一度もありません。
実はそれどころか、その反対で、
私は、アメリカ人よりも移民の方が得をしているな、
と思うこともあります。
なぜ移民であることが有利になるかというと、
それは何と言っても、
英語の他にきちんと読み書き話せる言語を持っているからです。
実はアメリカでは、
移民の親を持たない人のほとんどは、
モノリンガル (monolingual 一言語しか話さない人)です。
移民の子は二か国語を話す人が多いのですが、
たとえバイリンガルだとしても、
両方の言語を、ビジネスで通用するほど
きちんと読み書きして話せる人はあまりいません。
なので外国語が仕事で使えるレベルだと、
仕事を探すときに、
かなりプラスになるということです。
これは日本でも同じですよね。
日本語しかできない人が多い中、
日本語以外の言語が使える人は、
仕事を探す際に有利になると思いませんか?
なので一言語しか話せないアメリカ人にとっては、
アメリカ国内で仕事を探す際に、
外国人移民と比べて
不利になることもあるのです。
例えばカリフォルニアでは、
英語とスペイン語はほぼ必須の言語です。
カスタマーサービスへ電話したら、
必ず英語とスペイン語のサービスがあります。
それくらいスペイン語が話されています。
学歴の必要とされない
受付の仕事を例に取ってみますね。
病院や銀行の窓口では特に、
英語とスペイン語のバイリンガル
であることは大事です。
もちろん英語しか話さない受付の人もいますが、
同じような人たちが仕事に応募し、
片方の応募者がバイリンガルで、
もう片方の応募者が英語しか話さないとしたら、
会社がどちらを雇うかは、決まっていますよね。
同じ給料を払うのなら、
高い資質を持っている方がいいに決まっています。
実際、私のポジションも
日本語は必須ではなかったのですが、
できればプラスでした。
私は社内では、日本語はほとんど使いませんけれど、
それでも時々日本の会社へ連絡をするときは話すこともあります。
このように外国語ができるということは、
ハイヤリングで、プラスに働くこともあるのです。
アメリカで必要とされているのは、
他の言語ですと、例えば中国語。
中国は、2011年、日本を抜いて
世界第2位の経済圏になりましたね。
ますます世界の経済になくてはならない存在となった中国。
中国とそれほど仲がよろしくないアメリカでも、
今は中国語ができる人の募集がかなりあります。
だって、巷にあふれている物は、
ほとんどが中国からやって来ますから。
こういう環境の中で、中国と取引をしている会社が、
中国語と英語の両方でビジネスできる人が
欲しいと思っているとします。
でもアメリカ人で、ビジネスレベルの中国語を
身につけている人は
ほとんどいないでしょう。
中国語は、勉強するのが大変な言語です。
特に漢字は、大人になってから覚えるとしたら、
相当な苦労が必要です。
英語のアルファベットはたった26文字しかありません。
26文字だけで十分だった人たちが、
2000~3000もの新しい複雑な形の文字を
覚えないとならない。
まずやる前から諦めてしまう人が多いと思いますね。
発音も難しいですし。
日本人が漢字を使えるのは、
子供の頃からの少しずつの努力の賜物です。
これを大人になってから、
外国語で全部覚えると想像してみてください。
またたとえ中国からの移民を親に持つアメリカ人であっても、
中国語と英語のバイリンガルの仕事に応募することは、
大抵の場合、ハードルが高いものとなっています。
なぜかというと、アメリカ生まれの中国人の場合、
漢字がほとんど書けない人が多いんです。
つまり話せてコミュニケーションはとれても、
読み書きができない。
そして中国語での会話も、家族や身近な人に
限られてしまうことが多いので、
大人としての会話ができない人が多いんです。
そういう人たちが中国にいる中国人ビジネスマン相手に
仕事をしていくのは難しいですよね。
なので、中国からやって来た移民の人たちの方が
アメリカで育った人たちよりも
中国人相手の仕事をゲットする場合、有利になります。
たとえ英語がネイティブに及ばないとしても、
中国人の文化や仕事の進め方も理解しているでしょうし、
そういう人材の方が、アメリカの会社にとっては貴重です。
会社は、企業の利益を最大化するのが目的であり、
決して自国民の雇用を守るのが優先課題ではありませんからね。
ですので、こういう強い資本主義の背景を持つ社会では、
モノリンガルの自国民よりも、
強い経済圏やこれから開発していこうという国の言語ができる
移民の人たちの方が有難がられるということもあるのです。
アメリカでは、誰もが英語の読み書きができて、
話せるのが当たり前。
だから当たり前以外のことが、プラスに評価されます。
同様に、日本に住んでいて日本語を話せるのは当然ですね。
だから他言語を話せることが強みになるのと同じです。
言語能力では、アメリカ人は、
アメリカ国内では圧倒的に不利だと思います。
アメリカには、外国からやってきた
バイリンガル、マルチリンガルがうようよいますからね。
更に言語能力だけに限らず、
アメリカへやってくる発展途上国の人たちは
その他の分野でも大変優秀な人たちが多いですしね。
自分の国の人たちだけでなく、外国人移民とも競争して、
仕事をゲットしないとならないわけです。
日本では考えられない環境ですね。
日本語しか話せないから、他の国の人に負けてしまうなんて
今の日本では想像できない世界です。
でも実は私は、それほど遠くない将来、
日本もそうなるのではないか、と思っています。
現在は、国によって移民の道がほぼ閉ざされているため、
日本では日本人の職が守られています。
でも会社は国とは違います。
会社は、日本国全体を守るために存在しているのではありません。
世界の企業と戦うためには、日本国内からだけではなく、
ゆくゆくはアメリカのように世界中から優秀な人を集めないと
競争に負けてしまうでしょう。
日本の企業も、いずれはアメリカの企業のように、政府に働きかけて、
外国からの優秀な移民を受け入れるための仕組みを作るように、
ロビー活動をするかもしれません。
政府としても企業に海外へ出て行ってもらっては困りますから、
何らかの措置をとるかもしれません。
そのときに日本の人たちはどうなるか。
個人として何らかの強みがないと、
生きていくのが大変になるでしょうね。
アメリカで、アメリカ人が
「アメリカ人であるという特権」を失ったように、
「日本人であるという特権」が日本国内で失われるとき、
どうやって日本の人は、外国人と競争していくか
そろそろ考えないといけない時期に来ている、と私は思います。
これからはどの国で生まれたかということよりも、
その個人に何の資質とスキルがあるか、
そういうことの方が求められていくような気がします。
そういう姿勢を顕著に出しているのが、アメリカです。
だからここで書いたようにアメリカ国内では、
移民の方が有利になることもあるのですね。
英語以外で、完全に読み書き、
コミュニケーションの取れる言語があるということは、
移民ならではの強みの一つです。
アメリカは常に強い国を目指しています。
国が強くなる、企業が強くなる、そのためには
自国民の仕事を守るということに、
優先度 (priority) はないようです。
なので優秀な移民を広く受け入れ、
そのためには差別を撤廃する。
アメリカ人、移民を公平に人を扱おうとする社会だからこそ、
特別なスキルのある移民には、
その仕組みが有利に働いているように見えます。
なので私は、アメリカ人よりも、
時として移民の方が有利なこともある、と思っています。
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