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ノーベル物理学賞、日本人3人受賞ではない理由。

この記事は5分で読めます

ノーベル賞の発表がありましたね。
それで日本の新聞とアメリカの新聞を見比べてみたところ、
おかしなことに気づきました。

というのは、日本の新聞では、
日本人3人が受賞と書かれた記事が多いのですが、
それはアメリカでは、日本人2人、アメリカ人1人と
報道されているからです。

で、実は、これはアメリカの報道の方が
正しいようです。どういうことかと言うと、

中村教授は、どうやら既にアメリカ国籍を
取得されているようなのですね。
ということは、教授はもう日本人ではないのです。

日本の法務省のページには、こう書かれています。

**************************************
重国籍者の方は国籍の選択を!

 外国の国籍と日本の国籍を有する人
(重国籍者)は,22歳に達するまでに
(20歳に達した後に重国籍になった場合は,
重国籍になった時から2年以内に),
どちらかの国籍を選択する必要があります。
選択しない場合は,日本の国籍を失うことが
ありますので注意してください。
**************************************

というわけで、アメリカ国籍を取得しているということは、
日本の国籍を失い、既にもう日本人ではない
ということなのですね。

でも日本の報道機関は、見事にこのことについて
触れていないですね。

日本の報道機関と外国の報道機関のニュースを
比べてみたいと思います。
斜め読みしてみてください。

newspaper

**********************************
日本経済新聞:

「壁を破った日本の技術 ノーベル賞、3氏が受賞 」

世界に先駆けて「青色の光」を開発した
日本の研究者が2014年のノーベル物理学賞を独占した。
息の長い基礎研究を続け、産業応用に直結した成果が
高く評価された。経済復興にもたつく日本にとって
勇気づけられる受賞だ。

・・・(中略) ・・・

「物理学賞は素粒子研究の08年の南部陽一郎(米国籍)、
小林誠、益川敏英の3氏以来で計10人となった。
日本の物理学の高い実力を示した。」

**********************************
読売新聞:

「ノーベル物理学賞に赤崎・天野・中村氏」

スウェーデン王立科学アカデミーは7日、
2014年のノーベル物理学賞を、
青色発光ダイオード(LED)を開発した名城大学の
赤崎勇教授(85)と名古屋大学の天野浩教授(54)、
米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の
中村修二教授(60)の3人に贈ると発表した。

・・・(中略) ・・・

これで日本のノーベル賞受賞者は22人となる。
物理学賞は08年の南部陽一郎、小林誠、益川敏英の
3氏以来6年ぶり。賞金は800万スウェーデン・クローナ
(約1億2000万円)で、3人で等分する。

**********************************
朝日新聞:
「ノーベル物理学賞に赤崎勇・天野浩・中村修二の3氏」

スウェーデン王立科学アカデミーは7日、
今年のノーベル物理学賞を、
赤崎勇・名城大教授(85)と
天野浩・名古屋大教授(54)、
中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)の
日本の3人に贈ると発表した。

・・・(中略) ・・・

日本のノーベル賞受賞は、2012年の山中伸弥・京都大教授
に続いて20、21、22人目となる。物理学賞は
08年の小林誠・高エネルギー加速器研究機構特別栄誉教授と
益川敏英・名古屋大素粒子宇宙起源研究機構長、
南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授(米国籍)の
3人以来8、9、10人目。

**********************************
ロイター:

「ノーベル物理学賞に中村氏ら3人、青色LEDで「21世紀照らす」」

スウェーデン王立科学アカデミーは7日、
2014年のノーベル物理学賞を、
中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授、
天野浩・名古屋大教授、赤崎勇・名城大教授の
3氏に授与すると発表した。
**********************************

と、書かれています。
で、ノーベル賞の受賞者の数なども調べてみますと
(いや、Wikipedia ですけれどね。^^;)
それによりますと、今回で元日本人も含めますと、
22人のようです。

でも実際は、中村教授と南部教授は、既にもう
日本人ではないらしいので、実際には差し引かれた方がいいでしょう。
その部分、特に今回の中村教授に関しては米国籍と
しっかりと書かれていないところが気になります。
南部教授のことは、米国籍と書いているのに。
米国籍になったということは、いくら日本人だったとしても、
もう日本人ではないということなのですから。

ちなみにThe New York Times の報道はこちら。

**********************************
The New York Times:
「American and 2 Japanese Physicists
Share Nobel for Work on LED lights」

Dr. Akasaki, 85, of Meijo University and Nagoya University,
and Dr. Amano, 54, of Nagoya University, are Japanese.
Dr. Nakamura, 60, is American.
**********************************

わはは、さすがアメリカ人です。アメリカ人が先に来ています。
元日本人ですけれどね。

ちなみに BBC の記事も見てみましたが、
それには国名のことは、どこにも触れられていませんでした。

というわけで、日本では日本人として、
アメリカではアメリカ人として紹介されている中村教授でした。

アメリカの新聞は、アメリカ国籍なんだからアメリカ人に
決まっているとして報道し(それは正しいと思いますが)
日本の新聞はその部分に敢えて触れていないような印象です。

私は、この下の中村教授のインタビューの最後の部分こそ、
今回の報道でしっかりと取り上げる部分だったと思います。
これは日経新聞の
「ノーベル賞の中村氏 若者は海外で育てよ」
という記事からです。

*************************************

――日本に戻る考えはありますか。

 「それはない。仕事はこちらでと決めている。
裁判も決め手になった。大勝したら日本に残ろうと
思っていたが、そうならなかったので米国に移った。
この選択は間違っていなかった」

*************************************

私、この裁判のことは、よく覚えています。
当時、議論がいろいろとされていたことを思い出します。

「サラリーマンなのだから、会社からの報酬で満足すべき。
場を与えているのは、会社なのだから訴えるとは何事か。」

「いや、研究自体は個人で続けたのだから、
個人にそれ相応の報酬を支払うべき。
もしこれが他の国だったらどうなるかも参考にすべき。」

とか。いや、もっといろいろあったとは思いますが、
つまり賛否両論があったわけです。
私はもちろん、後者だと思っていましたけれどね。
当時は、私は既にアメリカを行ったり来たりしていたので、
日本以外の世界も知っていました。
英語でもニュースを読んでいたので、
却って、日本の「サラリーマンなんだから。」という
言い分の方に、驚いたものです。

インタビューを読みますと、この裁判結果こそが、
「日本を捨てて、自分を適正に評価してくれる海外へ行く」
いう決断につながったことがわかります。

当時の中村教授が勤めていた会社の社長の裁判後の
言葉がこちら
日亜の小川英治社長は「当社の主張を
ほぼ裁判所に理解して頂けた。特に青色LED発明が
一人でなく、多くの人々の努力・工夫の賜物である事を
理解して頂けた点は、大きな成果と考える」とするコメントを発表した。」

でも話をいろいろと読むと、会社側が中村教授の研究を
理解してくれて、サポートしてくれたようですが。
しかし裁判の結果によって、日本は優秀な物理学者を、
日本から永遠に失い、
そしてノーベル賞受賞者も一人失うことになったのですね。

成果と報酬を世界標準に照らし合わせないと、
こういう人材流出はずっと止まらないでしょうね。
少し前に韓国のスケート選手が、ロシアに帰化して
メダルを取り、ロシアに初のショートトラックの
金メダルを贈ったそうですが、日本のこの事情も似ていますね。
本国では適正に評価されなかった、サポートが受けられなかった、
そこへ海外からのオファーが来た。
もちろん受けるでしょうね。

オリンピックのときは韓国内では非難が沸き起こったそうです。
でもそれって、どこかできちんと報道されたから
そういうことがわかっているわけですよね。
(ま、オリンピックは見てわかるということもありますが。)

でも今回、日本では、中村教授が
もう日本国籍でないということさえ、報道されていない。
なぜなのでしょう?

裁判があった頃は、私は漠然と
日本人全員が英語がわかれば世界の基準がわかり、
状況は変わったんだろうなーと思いました。
みすみす損失を招いているような気がして
心配でなりません。
一つの国の中で、一つの情報源しか手に入らないということは、
相当な怖さがあります。

世の中で起きていることは、もう日本国内だけの基準で
計れる時代ではないと思います。そういう点で、
裁判も企業も、世界基準を参考にしなかった結果だと思います。

単純に3人が受賞したと喜ぶのではなく、
1人は既にもう日本人ではないということを、
もっとしっかりと取り上げて、そのことの損失について
報道するメディアがあってもいいのではないかと今回は思いました。

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