今日は海外で、
一番苦労したことをお話します。
私はあちこちで言っているように、
アメリカへ来た時はすでに30を越えていました。
ということは、良くも悪くも、
日本感覚が体の隅々まで染みついていたわけです。
逆に言えば、日本以外の常識を
知らなかったのです。
当たり前のことが当たり前に進まない。
自分が物心ついたときから常識だと思っていたことが
実は世界の常識ではなかった。
海外へ出ると、いろいろな点で驚かされます。
特に日本とアメリカは、文化が全く異なるので、
それはそれは最初は毎日イライラの連続でした。
若い頃に海外へ出た人との大きな違いは、
順応性があるかないかだと思います。
つまりいくら自分が若い気でいても、
やっぱり10歳児や高校生たちと違って、
新しいものを簡単に受け入れられないのですね。
私がアメリカへ来て苦労したのは、
実はここら辺です。
日本では当たり前に受けられる
質の良いサービスが受けられない。
DMV(アメリカの免許センター)や
Social Security Service の仕事は間違いがあった。
アメリカで生活をしていくのに、
何よりも大事なSocial Security Card、
送ったと言われたものの、届かなった。
しかし送ったので、送ったという記録は残ると
言われてしまう始末。
(実はSocial Security Cardは、
一生のうち、10回までしか発行してもらえない。)
引っ越しのために借りたトラックを
当日に受け取りに行ったら、
「今日はFamily Emergencyのため、休みます。」
と張り紙がしてあった。
おい、今日、全て引越しの準備をしてあるのに、
友達にも引っ越しの手伝いを頼んであるのに、
私のトラックは?
というより、キャンセルするならするで、
電話くらいして来いと思ったり。
ERへ行ったら、受付嬢はとなりの人と
広告を見ながら、ぺちゃくちゃとお喋り。
たらたらと働く。それを見て、
「あなた今、仕事中でしょ!働きなさいよ。」
と言いたくなったり。
しかもそして渡された書類の名前が
間違っていたり。
車の保険の手続きに行けば、
全部入力し終わっていないのに、
Enter を押そうとする人。
私に言われなければ、間違った情報を入力のまま。
洋服屋で買い物をすれば、
お客が長蛇の列でもやはりおしゃべり。
たらたらと働く。
陳列をしている店員は、見ても見ないふり。
カスタマーサービスへ電話すれば、
できることをできない、と言われる。
途中で電話が切れると、もう一度全部説明し直し。
そして別の日に電話すると、
前日に「できない。」と言われることが
できるようになる。
つまり人によって言うことが違う。
インフラでもイライラしましたね。
雨が降ると、水はけの悪い道路。
ショッピングセンターでは多くの入り口に
溝が掘ってあります。
つまりゆっくり走らないと、車の底をぶつけるように
出来ているのです。
ここに雨が降ると、水がやたらと溜まる。
何も考えていない町の設計だと思いました。
信号は時々止まっています。
渋滞があるから何でだろう?と思うと、
信号が止まっているので、
車が一台一台交差点へ入って行かざるを
得ないのでした。
セントラルエアコンディショナーは電気代のムダ。
家全体でしか働かないところが多い。
日本のように部屋ごとに空気の温度を調節する
システムは見かけません。
掃除機や電気製品は重過ぎる。
細部まで丁寧に作られていないので、
あちこちがとんがったままの家の造り。
新築の家の台所のカウンターの裏側を見たときは、
工事の途中で止めてしまったのかと思いました。
あのままではとげが刺さりますね。
とにかく全てに注意が全く行き届いていないことばかりで、
そして注意を怠った故の間違いばかり起きました。
そして、その訂正をお願いするのに時間がかかりました。
もう、こういうこと、日常の些細なことが
全て私をイライラさせました。
この国の人、どうなっているの?
私は一体全体、どこの発展途上国へ
やって来てしまったんだろう?と
いつも思っていました。
最初の2年くらいは、ずっと
この国、絶対に何かがおかしい、と信じていました。
でもね、とあるとき気が付いたのです。
このままだと折角勉強をしに来ているのに、
頑張ってお金を貯めて来たのに、
自分のイライラした感情によって
毎日の日々が台無しにされてしまう、と。
そんなつまらない日常の些細なことに、
一日の気分を振り回されてバカみたい、と。
確かに日本と違って、何事も物事は正しく進みません。
日本では間違いはあってはいけないという常識があり、
そのために人は最新の注意を払います。
でもアメリカでは、間違いがあって当たり前、
という常識がある国なのです。
あったら直せばいい、そう思っているだけです。
だから私が何でイライラするのかも
分かってもらえません。
そういう中で、それおかしいよ、と思っても、
アメリカでは、私の方がおかしいのです。
で、私は完全に頭のスイッチを切り替えました。
もちろんそんなに簡単に昨日までの常識を
覆せはしません。
でも何かある度に、
「ここは日本じゃないんだ。日本の常識は通じない。」
と思い聞かせ続けました。
もう無理やりです。^^;
そして逆に、そのいい加減な作業に対して、
頑張っていいところを探すようにしてみました。
人は間違っていいから、何度も見直さなくていい、
だから時間の節約になる。
そうすると、労働時間の短縮になるし、
実は個人の生産性は上がる(?)かも。
インフラが行き届いていないのは、
国土が広すぎるからだ。
でもだから、広い家に住むことができる。
もうそれは無理やりいいところを探して、
イライラする気持ちを別の方向へ切り替えました。
で、長年そうした結果、
今ではちっとやそっとでは動じない人になりました。
何かあっても、「あー、またか。」と
その程度で流せるようになりました。
そのおかげで日本へたまに帰ると、
もうそのサービスの素晴らしさに驚きます。
いやー、日本って最高だ、といつも思います。
で、気が付きました。
世の中全てのことは、気持ちの切り替え次第。
あんなに怒ってばかりいた日々にもさよならができました。
順応性があるかないかによって、
楽しみを増やすこともできますし、台無しにすることもできます。
でもちょっとの訓練で直せるのなら、
イライラする日々にさっさとおさらばした方が
精神衛生上もいいですね。
というわけで、私が海外で一番苦労したのは、
今までの常識を覆して新しいことを受け入れることでした。
海外へ出るまで、まさかそんなことで
苦労しないとならないなんて、思いもしませんでしたね。
でもおかげで成長できました。
今では良かったな、と思っています。^^
それではまた。
私がどうやって29歳から英語を勉強し直し、
今に至ったのかの勉強法については、
こちらのPDFにまとめています。
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