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外国語学習の科学ー第二言語習得論とは何か
英語を学ぼうと思ったら、まず勉強するよりも先に読むべき本だと思います。これをしっかりと読めば、どうすれば使える英語が身に着くのか、自分でわかるようになります。がむしゃらに努力しても、方向性が間違っていると、英語は身に付きません。かつて10年勉強しても英語が使えなかった私は、そのことが身に染みています。
この本の内容は、個人の体験談だけではなく、科学的に学者がまとめたデータに基づいていますので、それを正しく理解して学習するようにすれば、効率的に英語が学べることは間違いがありません。
私が英語を使えるようになったのも、数多くの成功者体験談の中からその本質を探り、その学習法を真似したからです。しかし体験談は個人により異なりますが、世界中の言語学者の何十年にも渡る「人はどのように第二言語を習得していくか」の研究には、更に科学的にそのエッセンスが凝縮されています。
こう書くと、日本語と西洋の言語は違うから、という人もいると思うのですが、第二言語習得論(SLA)には、きちんと日本語やその他のアジアの言語とその学習者についてのデータも含まれています。
それほど読みやすい本ではありませんが、英語を勉強する前に読んでおくと、「今、自分がやっている英語学習が正しく使える道へ向かっているのか」を、自分で判断することができるようになります。
英語は英語環境にどっぷりと浸かるだけで、できるようになるという生易しいものではありません。アメリカに10年住んでも、英語がロクに話せない人なんて、本当に大勢います。
たとえ両親が第二言語だけを家の中で話しても、家の外の会話が他の言語である場合、子供は自動的にはバイリンガルになりません。その家で育った子供は、社会で必要な言語はマスターしますが、家の中で話されている第二言語は、必要とされない限り話せるようにはなりません。意味はわかるものの、話せないという状態ですね。私の周りには、そういう「聞くだけバイリンガル」 がたくさんいます。
こういうことを知っていれば、「聞き流すだけで英語ができるようになる」、「海外へ行くだけで英語が話せるようになる」 なんてあり得ないということがおわかりいただけると思います。
日本で多くの人が言語学習に関して勝手に思い込んでいることも、この本を読めば、何が本当は正しくて何が正しくないのか、何十年にも渡るデータからわかります。具体的に何を勉強すればいいという指示は特に書かれていませんが、どうすればいいという方向性は書かれています。この本に書かれている内容を理解すれば、どうすれば第二言語(日本語以外の言語)を身につけられるようになるのかの道が見えてくると思います。
私ももっと若いころに、こういうことを知っておけば、無駄に勉強しなくて済んだのに、と思います。
UDA式30音DVD – リスニング力を上げる発音練習
私は10年も英語を勉強していても(当時TOEIC800以上)、アメリカへ半年留学しても、英語が全然聞き取れるようになりませんでした。日本へ帰国した後、このDVDを見て、一緒に発音練習をしたことにより、はじめて英語の音が「言語の音」として私の耳に入ってくるようになりました。
音自体が聞き取れるようになったので、私のリスニング力は爆発的に伸びました。
このDVDで発音練習をしなかったら、きっと今でも英語を聞き取るのに苦労していたと思います。なぜなら人は普通、聞いたことのない音を認識できないからです。ですが発音練習することにより、その今まで知らなかった音を聞き取ることができるようになります。
リスニングの苦労を減らすためにも、間違った発音で単語を覚えないためにも、発音練習は英語を学習し始めたら、一番最初にやることだと私は思っています。そもそも単語なんて、正しい音を知らずに、聞き取れるわけがありません。発音練習なんて、2か月くらいすれば大体正しい音が出せるようになります。そしてそれは一生モノの能力になります。
ですので参考書を買いに行こうと思ったら、一緒に発音練習も始めてください。詳細は、こちらの記事をどうぞ。
ヘッドフォン – リスニング・シャドーイングに欠かせない
「ヘッドフォン?」 と思われるでしょうが、これは英語学習には必須です。イヤフォンでももちろん構いませんが。私たちは毎日忙しい日々を送っています。いつも最高の環境で英語に触れられるわけではありません。ですので移動中の隙間時間は、英語をひたすら聞きまくってください。
聞く英語は難しい内容ではなく、80%くらいわかるものを聞きましょう。(これも上の外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)に書かれています。)
ヘッドフォンをお勧めする理由は2つ。
(1) 聞き取れない音も、ヘッドフォンで聞くことにより、聞き取れることがある。
私も昔、スピーカーの前で耳を澄ましていたこともありましたが、それよりもヘッドフォンの方が聞き取れない音が聞き取りやすくなります。ヘッドフォンを使ってじっくりと聞くと、「あぁ、そう言っていたのか。」 とわかることが、よくあるものです。
(2) シャドーイングやオーバーラッピングの練習をするときに、お手本の音だけに集中できる。
シャドーイングは、英語を話せるようになりたい人には、必須の練習ですが、音を聞きながら自分も声をだすため、お手本の音が聞こえなくなります。そういうときに聞き取る音に集中し、その後ろについていくために、ヘッドフォンが役立ってくれます。
ヘッドフォンは、よいものを買った方がいいと思います。というのも、私は通勤途中のイヤフォン大音量の使用により、「突発性難聴になり、10年ほどイヤフォンが使えなかった」 という個人的体験があるからです。
私は日本でかつて毎日通勤電車の中で、英語を聞いていました。電車の中って、電車の走っている音がかなりうるさいですよね。そういう中、私は普通のイヤフォンを使っていました。電車の中では英語の音がよく聞こえなかったため、結果として毎日爆音で英語のCDを聞くことになりました。(今ならmp3プレーヤーですね。^^)そうしたところ、突発性難聴になり、耳に激痛が走るようになり、その後10年ほどイヤフォンを使おうとする度に、その痛みは復活してきたのでした。
ご存じないかもしれませんが、耳の問題は一度傷つくと、ほとんど元へ戻りません。(大学の授業でそう教わりました。)ですので私のようにならないためにも、電車などの騒音がある中で英語に集中するためには、ノイズキャンセリング機能のあるものを使ってください。音質にこだわらないのなら、そんなに高いものでもなくて、これくらい (5,000~6,000円) の価格帯のものでも十分使えます。
MP3プレーヤ – リスニング&リピーティング練習に欠かせない
私が英語を勉強していた頃は、CDかミニディスクを使っていましたが(その前はテープも。^^;)、今はMP3プレーヤーか、スマホが必須でしょう。いつも持ち歩いて英語に触れるようにしてください。英語ができるようになる鍵は、英語の音をたくさん聞くことです。毎日30分でもいいですから、欠かさずに続けてください。
大事なのは、自分のレベルに合ったものをたくさん聞くこと。難しいものを聞いても、効果はあまりありません。上にも書きましたが、80%くらいわかるものを、ひたすら聞き続けるのがコツです。よく時間がないという人がいますが、誰だって時間なんてありません。だから作るのです。隙間時間は、全部リスニングに回す、それくらいの覚悟で英語を勉強してくださいね。英語は楽しく身につけることは可能ですが、ラクしては身に付かないのです。
毎日英語を聞かないと、何だか落ち着かない、それくらい聞いてください。そのお供が、MP3プレーヤーです。私はアメリカへ来た頃、まだリスニング力が弱かったので、通学途中にずっと英語の音声を聞いていました。今でも、基本的に移動時間、家事をしている時間は、英語を聞いたり、学習用オーディオ音声を聞いています。
MP3プレーヤーが英語学習に欠かせない理由は、もう一つあります。それは、自分の英語を録音するためです。(これにはマイクも必要ですが。)
「自分の英語の声」を録音することはしない人が多いのですが、絶対にやらないとダメです。自分の英語を録音すると、自分がどれだけ下手くそな英語を話しているかが、よーくわかります。^^;だからやりたがらない人が多いのかもしれませんね。
ですが、お手本を聞き、真似をして録音をしてみると、抑揚やイントネーションやリズムのまずさがよくわかります。自分の声を客観的に聞いてみて、そのまずいところを発見するのがいいのです。聞き比べておかしなところが、今後直していくべきところです。ですので、録音できるマイクも一緒に揃えてくださいね。
このウォークマン、語学学習にとてもいいと思います。MP3プレーヤーとしては、それほど安くはないですが、プレーヤー自体に、ノイズキャンセリング機能がついていますし、語学学習モードがあるので、フレーズのリピートが簡単です。実はその機能は語学学習者には結構大事で、私がミニディスクを使って英語の聞き取りやリピーティング練習をしていた頃は、聞きたいところの始まりと終わりにマークを付けて、そこを何度もリピートさせて物まね音読をしていました。
再生スピードも変えられます。再生スピードの変更は、ディクテーションをしていて聞き取れないときに役に立ってくれます。私も昔、どうしても聞き取れない音は、ゆっくりにして聞いてみたりしていました。すると、確かに言っているな、とわかるときもありました。
今はこういうモノが本当に安くっていいですね。私のミニディスクプレーヤーなんて、確か当時は3万円くらいししましたから。
私はあと、隙間時間を無駄にしないために、こういう防水の携帯ケースとスピーカーも使っています。こういうグッズは、オーディオブック や TED を聞くのに便利なので、シャワータイムや料理時間に愛用しています。日常生活が全て英語になった今でも、まだまだ日々学習中ですし(語学学習に終わりはありません)、朝のニュースをシャワー中に聞くこともできるので、時間が節約できます。
時間がないという方は、とにかくどれくらい隙間時間を利用できるかにかかっているので、忙しい方には特にお勧めします。
私は料理をするときに、はじめは iPad を台所に置いて使っていたのですが、汚れてしまうのが気になったので、上の写真のような防水の Bluetooth のスピーカーに変えました。料理をしながらでも、プレゼンテーションや大学の講義などが聞けるので、忙しくても毎日いろいろと学べていると思います。
英文法の参考書 – 英文法を知らずに英語は使えない
文法は、外国語を使えるようになるために欠かせないものです。なぜなら、私たちのように外国語育ちの場合、文法の理解なしに英語をわかるようにはならないからです。考えても見てください。普段の会話も、仕事の英語でのメールも、新聞記事も、英文法に基づいて文章が作られているわけです。
というより、実際は逆で、英文法とは、話し言葉・書き言葉に使われている、その全体のルールをまとめたものです。要は、その言語のルールを、勉強しやすいようにわかりやすくまとめて取り出したものが、文法です。ですから、会話と文法は別物ではありません。くだけた会話では省略されることも沢山ありますが、基本はルールに基づいて、日常会話だって行われているわけです。
このルール(英文法)を知らずには、日本で育った私たちは、英語を正しく理解することはできませんし、きちんと話すことも、書くことも、読むこともできません。
英語という言語のルールを知って初めて、私たちは英語で会話ができるようになるのです。なぜなら、英会話って、英文で成り立っていますよね?自分が思ったことをとっさに英文にする、それが会話です。自分で瞬間英作文ができなければ、会話ってできません。パターンやフレーズを覚えるだけでは、限界があります。
でも文法を知っていれば、暗記だけに頼らずに、自分で文を作ることができるようになるのです。英文法は、私たちが自分で英文を無限に作れるようにしてくれる基礎となってくれるものなのです。
よくドラマや英語を聞き取りたいという人がいますが、それも英文法の理解なしには無理です。まず英語の字幕をつけて、その字幕を読んでみてください。その字幕の意味がすぐに正しくわかるでしょうか。
単語の意味がわからない、イディオムである、決まり文句である、そういうことでわからないこともありますが、普通の文章で意味がわからないとしたら、それは多くの場合、文法が理解できていないからです。
読んで意味がわからないものは、聞いたらもっとわかりません。読んで意味がわかるようにするためには、まず文法の理解が欠かせません。文法の基礎力のない人が、いきなりドラマを見てわかるなんてことは、絶対にありません。なぜなら字幕を読んで理解できる力がなければ、たとえ音だけを聞き取れても意味はわからないからです。
ドラマや映画の会話がわかるようになるためには、「音の認識」 と 「意味の理解」 が欠かせません。ドラマの会話から音を抜き取ると、字幕になります。まずはこの字幕がとっさにわかるようにならないと、ドラマの会話の音やスピードについていけません。
字幕をわかるようになる(意味の理解ができるようになる)ためには、単語やイディオムや文法の知識が必要です。文法がわからないと、読んでその字幕の英文の意味を正しく捉えることができません。字幕を読んでもわからないなら、字幕なしで聞いてわかるはずもありません。
というように、英文法の理解は、「会話(仕事も日常も)」や 「字幕なしで映画やドラマを見る」 など、英語を使いたいと思ったら、必須です。旅行英会話などの必要最低限のことだけでよいのなら、丸暗記でどうにかなる部分もありますが、会話をしよう、ドラマや映画を字幕なしで見よう、と思うのなら、英文法は欠かせないということを、しっかりと知っておいてくださいね。
お勧めの文法書に関しては、こちらを参考にしてください。